M&Aコンサルティング代表の村上世彰氏(資料写真)

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3月決算企業の定時株主総会が今週中盤から来週にかけてピークを迎えるのを前に、「もの言う株主」として知られる村上世彰氏率いるM&Aコンサルティング(本社・東京都港区)が株式を保有している企業に対し、要望書を昨20日に発表していたことが21日、分かった。

 「株主総会における議決権行使についての基本的な考え方」との同文書によると、同社の基本方針として◆主力事業に経営資源を集中させ、株主に状況説明する◆PBR(株価純資産倍率)が1倍未満の場合は、積極的に自社株を取得し、株主価値を上げる◆株価が一定以上の場合は、剰余金は配当で株主に還元する─などと要求している。

 村上ファンドが株式を保有するタカラ<7969>(22日)、ダイドーリミテッド<3205>(29日)、住友倉庫<9303>(29日)、日本医療事務センター<9652>(29日)など主な企業の株主総会も今週と来週に集中。特に、「ヘラクレス」への新規上場受付の一時凍結で経営責任を追及されている大阪証券取引所<8697>(22日)や、第一製薬との経営統合案に反対された三共<4501>(29日)に対する、村上氏の動向が注目されている。

 同文書には、「具体的行使基準」として、定款(かん)変更や取締役選任、利益処分、買収防衛策など株主総会で懸案となる議案について、同社の賛否が明記されている。

 取締役の選任については、業績不振や経営計画未達で、説明や責任が明確でない場合、現取締役の再任決議案に反対すると表明。取締役の定員変更や常任役員の責任限定化など経営側の責任減免にも「反対」の姿勢を示し、全体的に株主重視と経営側の責任明確化を強調。

 買収防衛策には、経営陣・株主による賛否の判断を助ける目的以外は「原則反対」、防衛策ために取締役定数を削減することにも反対とし、厳しい姿勢を示している。

 また、合併や株式交換など企業再編については「目的が合理的かつ明確で、株主価値向上につながると判断できれば賛成」としている。【了】

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