8日の大証IR説明会終了後、「僕は強く言いたい。大証がだめになっちゃいますよ」と大証の米田社長に詰め寄るM&Aコンサルティングの村上代表(撮影:常井健一)

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新興企業向け株式市場の「ヘラクレス」でシステム障害が続いている大阪証券取引所<8697>(大証)は8日、東京都中央区の野村證券本店で投資家向けの会社説明会を開いた。参加した大証の筆頭株主でM&Aコンサルティング(東京・港)代表の村上世彰氏は、「今回のシステム障害は筆頭株主として恥ずかしい。責任はどうするか、米田さんの後継はどうするのか。日銀から『ポッ』と来てもこの難しいマーケットで、東証に追いつけ追い越せというのはしんどい」と米田道生社長の経営責任を追及。米田社長は「まずは市場の安定に努める」と答えた。

 システム障害の原因について、米田社長は「市場が活発になって、注文件数が2年前に比べて18倍と異常な増え方をしている。システムがうまく対応ができなくなった」と説明し、「投資家の皆様には大変ご迷惑をかけている」と謝罪した。同社は、来年2月を目途に売買システムの改善を終了させ、性能を既存の7倍に高める見込み。

 また、米田社長は「取引所の性質上、安定的な経営をしていくことが重要」と強調して、前の期の利益の40%を配当に充て、残り60%の大半を自主規制機能や競争力強化のためのシステム開発に投じるために内部留保すると説明。村上氏が疑問を呈したのに対しては、専門家で検討する機関の設置を示唆、「単に大証の問題とせずに、『オール日本』として内部留保の問題は考えたい」との展望を示した。

 また、村上氏が「システム投資や決済事故への備えに内部留保ではなく銀行借り入れで対応すべき」と主張したのに対し、米田社長は「世界の取引所を見ても借り入れしていない。取引所はパブリックなもので、信用が非常に重要」と否定した。

 同説明会は野村證券が主催し、投資家約60人が参加した。参加者からは「多くのIT企業がヘラクレスに上場しているのに、システム面で障害が出るのは、コミュニケーションが不足しているからではないか」など、大証の経営姿勢に対する厳しい指摘が続出した。【了】

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