結成30周年を迎えたロックバンド、THE GOOD-BYEが11月17日、記念コンサート「30th ANNIVERSARY LIVE〜TAKE OFF〜」を開催。満席の会場が熱いロックシーンに包まれた!(写真は「イクセルエンターテイメント」提供)

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 結成30周年を迎えたロックバンド、THE GOOD-BYE(ザ・グッバイ)が11月17日、東京国際フォーラムで記念コンサート「30th ANNIVERSARY LIVE〜TAKE OFF〜」を開催。満席の会場が熱いロックシーンに包まれた!(写真は「イクセルエンターテイメント」提供)

 総立ちになった観客の拍手を浴びながら、メンバーの野村義男・曾我泰久・衛藤浩一がステージへ。グッバイとしてのコンサートは5年ぶりだ。野村・曾我コンビの初コラボ作「赤いポルシェ〜TAKE OFF」をオープニングに、「DanceX3」、「涙のティーンエイジ・ブルース」、「YOU惑-MAY惑」、「にくめないのがニクイのサ」といった、シングル盤の楽曲が次々と飛び出した。まるで80年代にタイムワープしたかのような感覚になるが、ステージに存在していたのは今のグッバイ。野村「30周年のお祭りへようこそ! グッバイの名曲を果てしなく用意していますので、楽しんでください」、曾我「30周年のお祝いに駆け付けてくださいまして、ありがとうございます」と挨拶した。「30年後にライヴをするなんて、デビュー当時は思いもしなかった」というのが、メンバー3人の素直な気持ちだそうだ。

 「イマジネーション・ブルー」、「Shock Me!」といった初期の曲が続く中、「その時のギターを持ち出してきました」という曾我の発言は、グッバイマニアを歓喜させた。30年前にライヴで聴いていた音や声が、どんな風に変わったのかと聴き比べたいファンはたくさんいる。「そろそろ懐かしい曲をお届けします」と野村がふざけると、「全部懐かしい曲だよ!」と曾我がつっこみ笑いを誘っていた。

 「昨日まではFunny Boy」、「ペパーミント・パティ Telephone」といったモータウン風な曲が続いたところで、野村が「写真のアルバムと同じように、グッバイがリリースした9枚のアルバムでバンドの成長過程を感じることができます。演奏が上達したり、曲風が変わったりとか」と語った。個性派のメンバー4人全員が詞を書き曲を書き、そして歌えることもグッバイの強み。曾我いわく“秘密兵器”の衛藤は、「今日の日を待ち焦がれていた気持ちは、ファンのみなさんと一緒。灰になる覚悟で、ドラムを叩いています」と言葉を残し、祭りに相応しいにぎやかなナンバー「花のお江戸は華盛り」を披露した。

 「グローイングアップ・デイズ」、「CHECK it Out」、「OUT OF THE TIME」などのアルバム収録曲が続き、バンドの歴史を追うかのようなセットリストになっていると感じた。アコースティックコーナーでは、スタジオに缶詰状態でレコーディング漬けだった思い出話が語られる。活動全盛期だった80年代、自宅で仮眠しテレビ出演をこなしてスタジオに戻る日々だったそうだ。当時学生だった野村は、授業の内容が歌詞に影響していたことも明かした。

 また今年7月に他界した加賀八郎さんが残した楽曲も、メンバー3人とサポート・キーボーディストの小野澤篤・添田啓二によって演奏され歌われた。小野澤はアレンジャーとしてサポートメンバーとして、グッバイを支え続けた人物。添田もグッバイとの関わりでキャリアを積んだミュージシャンで、加賀さんのベースパートを左手で弾き再現した。この日は機械を入れず、手だけで演奏する音にこだわったという5人。グッバイの楽曲を大切に奏でたい気持ちと、深く結ばれている加賀さんとの絆を感じるステージだった。

 「のぞいてFeel Me,Touch Me」、「Dear Friend」といったしっとり聞かせる楽曲の後は、「一度きりの人生 自分のもの」と、エールを送るさわやかな「Go to theぱらだいす」。サンバホイッスルと共に観客との掛け合いも続き、華やかにクライマックスを迎えた。

 「30周年、ファンのみなさんのおかげで迎えられました」、と感謝するグッバイのメンバー。「解散しません! 来年8月までが30周年イヤーなので、ニューアルバムを作ってライヴをやります!」という宣言が、野村の口から飛び出した。それから「浪漫幻夢(Romantic Game)」、「Hong Kong Blues」、「REAL ME」と続け、ラストはシングル代表曲とも言える「Yes! Yes!! Yes!!!」。ポップでご機嫌なナンバーで幕を閉じた。

 鳴り止まない観客の拍手に応えたアンコール・タイムもあり、本当のエンディングは「Forever Friends」で迎えた。天国の加賀さんと会場内のファン、来られなかったファンにも捧げたのだろうと思える選曲だった。演奏を終えて客席に向かったメンバーは、“加賀八郎もここにいる!”という意味で、1人分のスペースを空けて頭を下げた。ステージを去ってBGM「Good-Byeのテーマ」が流れても、帰ろうとしない観客を見て再度登場、手を降りながら何度も「ありがとう」と伝えた、曾我・野村・衛藤。ステージを守っていた加賀さんの白いベースを抱きかかえた野村が、最後に姿を消した。後日、野村がオープニングで着ていた衣装が、加賀さんの物だったことも明かされた。

 本公演のチケットが即完状態で、1人でも多くの人に音を届けたい、という気持ちで同日に追加公演もこなしたグッバイ。ファン思いでメンバー思いな素顔が伝わるコンサートだった。またコンサートの楽しさ、バンドスタイルのポップスのカッコよさを教えてくれたメンバーの心意気は、1983年の結成当時と変わらず進行形だ。日本のミュージックシーンの歴史に刻まれるべきな、グッバイらしい感動のステージだった。次のコンサート、そして10枚目となるニューアルバムのリリースが待ち遠しい。(取材・文責:饒波貴子)