今年4月、チェルシーDFイヴァノヴィッチに噛みつき、10試合の出場停止処分となったリヴァプールFWルイス・スアレスがついにピッチに戻って来る。25日のキャピタル・ワンカップ対マンチェスター・ユナイテッド戦のメンバー入りが決定したのだ。今季開幕から負け知らずだったリヴァプールだったが、先週末、サウサンプトンに0−1で負けている。スアレスにとって最高のタイミングで復帰の機会が巡って来たと言えるだろう。

今のリヴァプールが抱える戦術的課題は、攻撃陣のバラエティ不足だ。スアレス不在という問題に上手く対処し、勝ち点10で現在5位につけているリヴァプール。しかし、ブレンダン・ロジャース監督はワールドクラスと称賛されるウルグアイ代表ストライカーをやはり頼りにせざるを得ない状況にある。小柄で俊足な選手は多いものの、フィジカル面で強さを発揮できる選手が見当たらないからだ。

サウサンプトン戦では、いくらクロスを上げてもペナルティボックス内で競り勝ち、ゴールに結びつけられる選手がいなかった。スアレスは、フロントライン全域、右、左とどこでもプレー可能だ。典型的なターゲットマンではないが、ピッチ上を自由に動き回り、決定機が来ればそれをモノにする強さを持っている。

だが、気がかりな点もある。まずは、スアレスが90分戦えるコンディションなのかという点だ。謹慎中もトレーニングに励み、練習試合をこなしてきたスアレスだが、オールドトラフォードでの対戦は、それらと比較にならないほど激しいゲームになるのは想像に難くない。

また、スアレスが感情を上手くコントロール出来るようになったのかどうかも心配事のひとつだ。彼がカッと熱くなりやすい選手であるのは誰もが知っている。つまり、プレミアリーグで最もターゲットにされてしまう選手なのだ。わざとイライラさせる言動で彼を挑発し、自分たちの有利になるよう、対戦相手はあれこれトリックを仕掛けてくるだろう。そういった挑発に乗らず、自身の攻撃性をプレーに向かわせることが出来ればいいのだが。過去の経験から学び、スアレスが精神面で成長するのを期待している。

今オフはアーセナル移籍かと騒がれたスアレスだが、リヴァプールが頑なにオファーを断り続けた。結局スアレスはリヴァプールに留まったが、彼はチャンピオンズリーグという大舞台でプレーすることを望んでいる。来季のCL行きチケットを手に入れなければ、今度こそリヴァプールはスアレスの移籍を止めることは出来ないだろう。今季トップ4入りを実現させるためにも、ロジャース監督はスアレスの力を強く必要としているのである。