そして、「西の根戸川(江戸川)と東の海を通じる掘割が、この町を貫流していた」と地勢が紹介されている。

また、主人公と舟宿の息子との交流も描かれていたりと、実際にあった数々の店が架空の名前で登場しているので、もし浦安を訪れるならば、本著を片手に歩いても面白いかもしれない。

そんな浦安のノスタルジックさを、身をもって体感したい方にとってうってつけなのが「郷土博物館」だ。

屋外展示場にはかつて漁師町として栄えた昭和27年(1952)頃の浦安が再現され、べか舟に乗ることもできる。

また、『青べか物語』に登場した天ぷら店も再現されている。

江戸末期に建てられたという三軒長屋や貝殻を敷いた道、懐かしい丸ポストを見ながら、タイムスリップ体験ができるのだ。

さらに、船の展示室やテーマ展示室では、海と共に生きた浦安の民俗、文化、歴史について、様々な角度から学べるのもうれしい。

●information浦安市郷土博物館千葉県浦安市猫実一丁目2番7号ちなみに、今回ふらっと歩いた猫実の地名だが、動物の猫にちなんで付けられたわけではない。

海に面しているため津波の被害が多かったことから、鎌倉時代にこの地に堤防を築き、その上に松の木を植えたという。

そして松の木の根を波が越さないようにとの願いをかけて「根越ざね」と呼ばれ、それが猫実に変化していったのだとか。