猫には罪はないけれど

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Q&AサイトのOKWaveに、こんな相談が載っていました。質問者のkanie999さんの会社では、オフィスで猫を飼っています。社長が強引に決定したもので、質問者さんは断固反対しましたが聞き入れられませんでした。

毎朝出社後には糞尿の始末を行い、仕事中に鳴いたり擦り寄ってきたりするので、そのたびに相手をしています。仕事の合間に猫と遊べるなんてちょっと楽しそうですが、そのオフィスで働いているのは質問者さん1人。業務とまったく関係のないことですが、対応せざるを得ません。

それでも猫にばかり同情する人がいてユウウツ

社長が「世話をする」と約束した土日も出社しないので、月曜になると片付けが大変です。猫に罪がないとは分かっていますが、もともと飼育に反対していたのに平気で押しつける社長の理不尽が嫌でたまらなくなりました。

「正直、虐待されている気分です。こういう人間の下ではやっていけません」

最初のうちは土日も出社して世話をしていましたが、「私も妻とまだ幼い子がいるので、必ず行けるわけではありません」。金曜日に大量のえさと水を置いて退社しています。相当に参っているようですが、回答者のbbcdさんが気になるのは猫の方でした。

「中小企業では、そのような理不尽は日常茶飯事なんじゃないでしょうか。土日は餌も水も交換せず部屋に閉じ込めっきりですか? 夏は部屋の気温が上がりませんか? 虐待になりませんかね」

一方で、人間の方にも同情を寄せる回答者もいます。

「正直ひどい会社だと思います。貴方の会社に飼われた猫ちゃんが可哀想でなりません。…でも、貴方の身になれば貴方がとても可哀想です」

質問者さんも、このままでは「自分がひどい人間なのかと思わされそうになっています」とユウウツそうに答えています。猫なんてどうでもいい、と思う人なら放置しておくでしょうから、優しいお父さんなのでしょうね。

「猫を介したパワハラ」は成立するのか

回答者のnoname#111181さんが助け舟を出しました。「猫の飼育の押し付け」は、パワーハラスメントに当たるのではないかというのです。ある業務命令がパワハラであるかどうかの判断基準は、

(1)その業務命令が「業務上の必要性」に基づいてなされたものか
(2)その業務命令を行った上司に、社会的にみて「不当な動機・目的」が認められるか
(3)その業務命令によって部下が被る不利益が「通常甘受するべき程度」を著しく超えているか

の3つを中心に、総合的に判断されます。

この点から見ると、今回の相談内容は、猫の世話は業務上の必要性に基づいていないでしょうし、社長が「個人的に猫を飼いたい」という動機は身勝手すぎるでしょう。もちろん「部下をいじめたい」という動機であればアウトです。

「通常甘受するべき程度」を著しく超えているかどうかは、猫好きと猫嫌いでは意見が分かれるかもしれません。ただ、本人の不満を考えれば、パワハラ行為のおそれは高いのではないでしょうか。