世界陸上開幕まで約1週間、テレビを中心に徐々に露出が増え、ちまたでもにわかに盛り上がりを見せてきた。

メダルを狙える粒ぞろいの日本代表女子選手団の中で、今回の注目は5000mに出場する新谷仁美(23歳)。今大会が社会人6年目にして初の世界陸上挑戦となる。

新谷は高校時代から日本女子長距離界の未来を背負って立つ逸材として注目され、全国高校駅伝ではエース区間と言われる第1区で3年連続して区間賞を獲得するなど、驚異的な強さで数々の記録を残してきた。その颯爽たる走りは「高橋尚子の再来」と言われ、高校卒業後は高橋を育てた小出義雄に師事し、佐倉アスリートクラブに入部した。

しかし、その後の5年間は記録が伸び悩み、かつての圧倒的な強さが鳴りを潜めた。「正直心が折れた」と吐露するほど、長くて暗い苦しい時期を過ごした新谷だったが、今年に入ると調子が好転。走りに力強さが戻り、ついに世界陸上への出場権を得るに至った。

世界陸上女子5000mでの日本勢の入賞は、過去に1997年大会8位の弘山晴美しかいない。挫折を経験し、それを乗り越えたことでさらなる強さを身につけた新谷が、その歴史に新たな1ページを刻む可能性は十分だ。

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