韓国で7月24日、性犯罪者の男性器を「リュープロレリン」という薬物で去勢する制度がスタートした。対象は16歳未満の子供に性的暴行を加えた19歳以上で再犯の恐れがある性的倒錯者だ。去勢される犯罪者の同意は必要ない。

 でも犯罪者とはいえ、クスリで強制的にイチモツを使い物にならないようにするなんて、「人権無視だ!」と批判されそうだけど……。この疑問に韓国のテレビ局取材スタッフは首を振る。

「国会での採決は賛成131票に対し、反対はわずか13票。世論も75%が賛成し、そのうちの38%は薬物治療どころか、犯罪者のチ●コをちょん切る『宦官(かんがん)の刑』を望んだほどです。韓国内では薬物措置が性犯罪者の人権を損ねるという批判はごく少数でした」

 韓国では性犯罪者にGPS(全地球測位システム)付きの足輪を装着させ、その行動を監視する法律もすでに施行されている。

「しかも、その足輪はかなり大きく、ズボンの下にはとても隠せない。着けているだけで、過去に性犯罪をしでかした危険な人物と周りにバレてしまうというシロモノです」(韓国紙特派員)

 ところが、このGPS足輪の導入にもかかわらず、2010年の児童・少年への性犯罪件数は7225件にも達してしまった。

「ここ数年の風俗浄化作戦で、ソウルなど主要都市の風俗店は壊滅状態。若い男性が性欲を処理するところがなくなってしまった。それで、強姦などの性犯罪が多発するようになってしまったのです」(前出・テレビ局スタッフ)

 そのため韓国はGPS付きの足輪だけでは性犯罪を減らせないと判断、ついに薬物による去勢という強硬手段に出たというわけだ。 ところで気になるのはその薬物、リュープロレリンの威力。本当に去勢なんてできるのか? 都内の公立病院に勤務する内科医がうなずく。

「十分に期待できます。リュープロレリンは性腺刺激ホルモン抑制剤の一種で、前立腺がんや乳がんの治療によく使われます。男性にリュープロレリンを処方するとテストステロンの分泌が抑えられ、著しい性欲の減退をもたらすんです。勃起? リュープロレリンそのものに勃起不全を起こす効能はありませんが、性欲がなくなった結果として勃起もしなくなります。リュープロレリンは体内に注入すると、その部位にとどまり、少しずつ溶け出す。一度の処方でおそらく3ヵ月間くらいは去勢効果が続くと思います」

 韓国政府によれば、最長措置期間は15年間。ということは、1年だと4回、15年で60回、この薬を対象者に処置すれば、ある程度は性犯罪を防げることになる。

 なかなかの優れモノではないか。これは日本でも導入を検討してみる価値があるのでは?

「とんでもない。この薬には副作用があり、強度のうつ症状が出るんです。ひどい患者さんになると、一度ベッドに入ってしまうと何もする気力がなくなって、布団にもぐりきりになるケースもあるほど。ほかにも肝機能障害、黄疸(おうだん)、めまい、ほてりなどの症状が出ます。これでは性犯罪者の社会復帰もままならない。医師としては、健康な人体にリュープロレリンを投与するなんて、とてもオススメできません」(前出・内科医)

 しかも、リュープロレリン3ヵ月分の薬価は8万7730円にもなる。もし、日本で韓国と同じく15年間60回、リュープロレリンを性犯罪者に処方すれば、500万円以上のお金がかかる計算になる。もちろん、その費用はすべて税金だ。

 値段がバカ高いうえに、「処方は人権無視」と批判の声が上がりかねないリュープロレリン。性犯罪抑制に効果はありそうだけど、やっぱり日本での導入はムリか?


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