甘くて食べやすいバナナは、子どもたちの大好きなフルーツの定番のひとつ。カリウムやマグネシウムといったミネラルも豊富に含む栄養価の高い食べ物のため、離乳食としても重宝されています。

しかし、このバナナ。英国のある幼稚園では、敷地内で食べることどころか、持ち込みさえも禁止されています。同国の南西部、プリモス市にあるストーク・ダメレル・プライマリー・スクールでは、過去2年間に渡り、「バナナ禁止」のルールがあるのです。

その理由はこの学校に勤める一人の教員が過度の「ラテックス・フルーツ症候群」であるため。この病態は天然ゴムに含まれる成分にアレルギー反応を起こすというもので、アレルギーの原因となる成分(たんぱく質)に過剰反応する人は、他にも桃やメロン、そしてバナナにも含まれている全く別の種類のたんぱく質にも反応することが多いのです。同学校の教員は、心臓停止までをも引き起こす「アナフィラキシーショック」をバナナのせいで起こす可能性があるのだとか。

学校の「バナナ禁止」の措置について、保護者からは、

「たった1人のために、禁止するなんてちょっとやりすぎ」

と、過剰反応ではないかとの意見も出ていますが、

「アレルギーを持っているのがここに通う子どもだったとしたら、その子の健康を守るために、禁止にするでしょう。教員だって同じこと」

という意見も。たしかに欧米では、アレルギーを持つ子どもたちに対して周囲がかなりの理解を示しており、学校全体でサポートすることも珍しくありません。ピーナッツ・アレルギーの生徒のために、子どもの大好きな「ピーナッツ・バター・サンドイッチ」を持参しないように協力を呼びかけたりもするのです。

ちなみに先のプリモスの学校では、今年の秋にそのアレルギーを持つ教員が退職する予定なのだそう。バナナはその後、再び解禁となる見込みです。