川崎フロンターレの守田 photo/Getty Images

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Jリーグも12試合を消化し、徐々に上位と下位の差がはっきりしてきた。現在首位を走るのは無敗を維持するFC東京、それを名古屋グランパス、昇格組の大分トリニータ、調子を上げてきた王者・川崎フロンターレ、鹿島アントラーズ、パスサッカーを貫く横浜F・マリノスが追いかけている格好だ。

この上位陣で目につくのは、中盤の底でプレイする選手たちの質の高さだ。例えば首位を走るFC東京では、高萩洋次郎と橋本拳人のコンビが効いている。高萩が創造性溢れるパスを持つ器用な選手なのに対し、橋本は中盤でハードに相手選手を潰すことができる。今年の3月には追加招集ながら日本代表メンバーにも選ばれており、長谷部誠が引退したボランチのポジションを狙う選手の1人だ。

名古屋では同じく潰し屋の米本拓司が抜群の働きを見せる。豊富な運動量に加えてボール奪取の技術が高く、相手アタッカーからは最も嫌がられるタイプの選手だ。プロ入りから10年間FC東京でプレイを続けてきたが、今季より名古屋行きを決めたのは正解だったと言えよう。

川崎ではロシアワールドカップの日本代表メンバーにも選ばれていた大島僚太、残念ながら怪我で森保ジャパンを離脱するケースが続いているが、高い技術を誇る守田英正、トゥーロン国際大会に参加するU-22日本代表メンバーにも選ばれた20歳の田中碧と実力者が顔を揃える。大島のテクニックは誰もが知るところだが、守田も相手にボールを奪われることが少ない。森保一監督が目をつけるのも当然で、24歳という年齢を考えれば今後も代表候補に入ってくるだろう。

鹿島では最後までロシアワールドカップのメンバー入りを争った三竿健斗が守備面で見事な働きを披露しており、中盤での守備力はJリーグの中でもかなり高いレベルにある。鹿島の中盤を引き締めるうえで欠かせない存在で、そのボール奪取力は代表の舞台でも通用するはずだ。

横浜はチーム全体で細かくパスを繋いでいくスタイルを継続しているが、その中にあって外せないのが中盤の底で攻守に走り回る喜田拓也だ。24歳の喜田は確実に成長を遂げており、アンカーとして頼れる人材になっている。中盤の底で守備をこなせる喜田がいてこそのパスサッカーだ。日本代表に選ばれても不思議はない。

大分ではまだデビューしたばかりだが、ルーキーの長谷川雄志が興味深い。守備面など課題はあるものの、左右両足で正確にボールをさばく力がある。ロングパスの精度も評価されており、Jの舞台で経験を積めば数年後には化ける可能性もある。

彼らが今のパフォーマンスを継続した場合、代表のボランチ争いはかなり熾烈なものになるだろう。森保監督もテストマッチで彼らを試していくはずで、2022カタールワールドカップへ向けてサバイバルは激しさを増していくはずだ。

もちろん彼らJの上位陣だけではなく、森保監督が信頼し続けているヘタフェの柴崎岳、アジアカップ2019で特大の評価を受けたシント・トロイデンの遠藤航、長く代表でプレイしてきたヴィッセル神戸の山口蛍、オランダ・ヘーレンフェーンの小林祐希らも忘れてはならない。海外挑戦後は苦戦が続いているが、ヴァイッド・ハリルホジッチ元監督のお気に入りとなっていたグロイター・フュルトMF井手口陽介もポテンシャルは間違いない選手だ。調子さえ取り戻せば3年後のワールドカップを目指せるだろう。

ロシアワールドカップを最後に長谷部のリーダーシップを失ってしまったのは痛いが、ポスト・長谷部の座を狙う若きMFが続々と出てきている。今後のサバイバル次第では、中盤の底も日本代表のストロングポイントになるかもしれない。高いクオリティを誇るボランチの争いにも注目だ。