【日本代表プレビュー】未知数の相手との真剣勝負で問われる実力《AFCアジアカップ2019》

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日本代表は9日(水)、UAEで行われているアジアカップ2019の初戦でトルクメニスタン代表と対戦する。

ハビエル・アギーレ監督に率いられて臨んだ2015年の前回大会では、グループステージを突破したものの準々決勝でUAE代表を相手にPK戦の末に敗退。日本は大会連覇を逃していた。

日本は1992年、2000年、2004年、2011年と過去に4度優勝しており、史上最多。5度目のアジア制覇を目指し、初戦に挑む。

◆未知数のトルクメニスタン

トルクメニスタンという国名を聞いてもピンと来ない方の方が多いだろう。地理が得意であったり、アジアに精通していなければ、名前すら聞いたことがないという方もいるかもしれない。

トルクメニスタンは中央アジアに位置し、ウズベキスタン、カザフスタン、アフガニスタンと国境を接している。また、旧ソビエト連邦の構成国であり、1991年に独立した。

観光国家でもないため、訪れる外国人も少なく、国土の約85%が砂漠。豊富な天然資源を有する国だ。また、犯罪統計が明かされていないため、危険地域と認識されることが多い。

話をサッカーに戻すと、アジアカップの出場は今回が2回目。2004年の中国大会に初出場していたが、1分け2敗で敗退。また、ワールドカップ(W杯)の出場もなく、国際経験は少ない。サッカーの面でも未知数の部分が多い。

◆ロシアW杯予選ではイランに善戦

2018年に行われたロシアW杯に向けたアジア予選では、2次予選でイラン、オマーン、グアム、インドと同居。

オーマン、グアム、インドに勝利し4勝を挙げたものの、勝ち点差1でグループ3位となり敗退。しかし、イランにもホームで引き分けるなど、善戦を見せていた。

また、この結果アジアカップ予選に回り、バーレン、チャイニーズタイペイ、シンガポールと同居すると、バーレーンには2敗を喫するもグループ2位となり、2度目の本大会出場を決めた。

◆注目は親子2代でアジアカップに臨むMF

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未知数のトルクメニスタンだが、注目選手はMFルスラン・ミンガゾフ(27)だ。

父のカミルは、2004年のアジアカップ中国大会に出場。自身は、2009年に海を渡り、ラトビアのスコントFCへ移籍。2014年にチェコへ渡り、バウミト・ヤブロネツでプレーすると、2016年からはスラビア・プラハに所属している。

今シーズンはリーグ戦で8試合に出場し1ゴール1アシスト。トルクメニスタン代表では、21試合のキャップがあり、貴重な海外組の選手だ。

父は2004年のアジアカップで勝利がなく敗退したが、その偉大な父を超えるため、初勝利を目指し、意気込んでいる。

◆日本は不安な仕上がり状態

2大会ぶりのアジア制覇を目指す日本だが、新年早々に残念な知らせが届いた。森保一監督の下、日本代表を牽引していたMF中島翔哉(ポルティモネンセ)が負傷により離脱。また、ルーキーながら川崎フロンターレのJ1連覇に貢献し、成長著しいMF守田英正も負傷離脱した。

代役にロシアW杯メンバーのMF乾貴士(ベティス)とサンフレッチェ広島時代の教え子であるDF塩谷司(アル・アイン)を招集した。

しかし、ケガ人の影響などもあり、「全体で練習できたことは満足のいく時間だったかというと、もっと時間があればなと思っていました」と森保監督が前日会見でコメント。満足いく準備ができなかったことを明かした。

それでも、格下でありながら未知数な部分が多い初戦は日本にとって大切な一戦。2018年は順調な戦いを見せつつあった日本だが、初の公式戦でどのような結果を残すのかは、今年9月にスタートするカタールW杯予選にも繋がる一歩となる。

★予想フォーメーション[4-2-3-1]
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◆日本代表

GK:権田修一

DF:酒井宏樹、冨安健洋、吉田麻也、長友佑都

MF:遠藤航、柴崎岳

MF:堂安律、南野拓実、原口元気

FW:北川航也前日会見で森保監督は「コンディションのところはひとつ重要」とコメントしていた通り、初戦はコンディション面を考慮してのメンバー選考となる。

GKはサガン鳥栖のJ1残留にも貢献した権田修一を予想する。これまで同様に東口順昭(ガンバ大阪)、シュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)と3名が招集されているが、この3名をどう回すかが注目される。

最終ラインは経験値の高い酒井宏樹(マルセイユ)、吉田麻也(サウサンプトン)、長友佑都(ガラタサライ)に加え、冨安健洋(シント=トロイデン)が入ると予想。しっかりと安定させた守備を敷いて、初戦勝利を掴みたいはずだ。

中盤のボランチには遠藤航(シント=トロイデン)と柴崎岳(ヘタフェ)が入ると予想。これまでのキリンチャレンジカップでもコンビを組んでいる両者は、試合勘という点で柴崎に不安が。それでも、今大会で使い続けることはコンディションアップにも繋がるはずだ。

2列目は、堂安律(フローニンヘン)、南野拓実(ザルツブルク)は継続して起用。そして中島の代役には、原口元気(ハノーファー)が入ると予想する。乾という選択肢もあるが、攻守にわたってハードワークできる原口はアジアの戦いで進化を発揮するはず。森保体制で初招集の乾はベンチスタートと予想する。

そして1トップには、北川航也(清水エスパルス)が入ると予想する。大迫勇也(ブレーメン)が1トップの核であることは間違いないが、2番手、3番手の選手が不在。北川に加え、武藤嘉紀(ニューカッスル)も今大会は招集。大迫に次ぐ選手の登場が期待される。

◆真剣勝負で問われる実力
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2018年のキリンチャレンジカップでは、南米、北中米の国を中心に5試合を戦い無敗。しかし、ホームで戦っていたことを考えれば、手放しで喜べるものではない。

全てはこのアジアカップに向けた選手選考と、戦術浸透のための準備である、若手の台頭などプラス材料は多く見えてきた。

一方で、真剣勝負の舞台では初の実戦となる。グループステージの相手は実力差があるものの、W杯アジア予選を考えれば、楽勝な相手とは言えない。しっかりとここで結果を出せる選手なのか、シビアな目で見る必要がある。

また、オーストラリアや韓国なども初戦は苦しい試合となっており、日本も侮るわけにはいかない。グループステージを突破すれば、相手国のレベルも上がり、そこでの勝負でも通用するのか。そのためにも、グループステージの3試合でどのような戦いを見せるかが重要となる。

未知のステージで、未知の相手と戦う日本代表の初戦、トルクメニスタン代表戦は初戦は9日(水)の20時にキックオフを迎える。