関連画像

写真拡大

婚姻歴がない「ひとり親」の税負担が重いのは不平等だとして、制度改正を求める声が上がっている。九州在住のひとり親(40代女性)が発起人となり、改正を求める署名は約2万3000人分集まった。署名は10月29日、財務省や厚生労働省、公明党税調に対し提出された。「未婚ひとり親へも寡婦(夫)控除の適用を切実に望む会」のメンバーらは同日、東京・霞が関の厚労省で会見し、「ひとり親はすべて平等に扱ってほしい」と語った。

●40代会社員女性、控除あれば年間5万円のメリット

寡婦控除は12月31日時点の現況を基準に、一定の条件を満たすと所得税や住民税を軽くするもの。いくつか条件があるが、例えば、夫と死別または離婚したのちに婚姻していない人や夫の生死が明らかでない人で、子ども(総所得金額等が38万円以下)がいると、27万円の所得控除が認められる。未婚のひとり親は、この恩恵が受けられない状態になっている。

この日の会見に出席した、ひとり親で会社員の杉本育美さん(40代、首都圏在住)の場合、寡婦控除の対象になれば年間約5万円の税制上のメリットがあるという(メリット額は本人の年収などにより異なる)。杉本さんはパートナーによる不貞行為などを理由に、婚姻に至らず、現在は3歳の女児を育てている。控除を受けられないことについて、「大変な差別だなと思う」と話した。

●貧困を招き、虐待に走らせる恐れ

また会見では、杉本さんが署名の発起人である九州在住の女性の声を代読した。「男性も女性も同じ。ひとり親の控除要件はすべて平等にすべき。さらに貧困を招き、虐待に走る人もいるかもしれません。先進国であるはずの日本でこのような差別はいつまで続くのか。ひとり親に控除が適用されれば生活の命綱となる。法の下の平等が適用されるよう願います」

寡婦控除をめぐっては、「現代の多様な生き方にそぐわない」などという批判がかねてからあり、厚労省は来年度の税制改正要望で見直しをめざす方針だと今年夏に報じられた。

(弁護士ドットコムニュース)