作品管理システムと自動組版とデジタル印刷の技術で「松方コレクション西洋美術全作品第1巻絵画」が発売

2018年7月27日 12時15分

「松方コレクション西洋美術全作品第1巻絵画」
（執筆・編集：国立西洋美術館 / 出版社：株式会社平凡社）

国立西洋美術館が執筆および編集した「松方コレクション西洋美術全作品第1巻絵画」が、株式会社平凡社から発売された。A4判で390ページの仕様で、価格は3万2000円（税抜）。この書籍では、日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社が提供するデータベース編集システム / 自動組版システム / デジタル印刷を組み合わせた新しい美術書籍発行の仕組みが採用されている。

「松方コレクション西洋美術全作品第1巻絵画」は、戦前に川崎造船所の社長を務め、日本への西洋美術の紹介に大きく貢献した松方幸次郎氏の顕彰を目的に、彼の膨大なコレクションの全貌を学術的観点から明らかにするものだ（浮世絵など、東洋美術を除く）。この刊行にあたり、日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社は、美術館 / 博物館向け収蔵作品管理システムの「Artize MA（アルタイズ・エム・エー）」、自動組版システム、高品質カラーデジタル印刷システムの「NDP（Nissha Digital Printing）」という、3つのソリューションを提供した。

「Artize MA」では、Webブラウザ経由で原稿を執筆でき、複数人による寄稿や編集状況の共有が可能。「松方コレクション」は作品点数が膨大でジャンルも多岐にわたり、国立西洋美術館では複数の学芸員が専門分野ごとに分担して原稿の執筆を行っているため、この「Artize MA」が役立った。さらに、「Artize MA」は国立西洋美術館の学芸業務支援にも採用されているため、データベースに蓄積された作品画像や学術情報は、「松方コレクション全作品」の原稿にスムーズに転用でき、効率的な原稿執筆に活用されている。

「Artize MA」のデータベースに蓄えられた原稿は、自動組版システムで、テンプレートを介してレイアウト。日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社の自動組版システムでは、膨大な量の組版作業を効率化できることはもちろん、画像の有無やテキスト量などの条件によって自動的に紙面構成を変化させる処理も実現できる。

さらに、「松方コレクション西洋美術全作品」はページ数が多く、対象読者が美術史研究者に特化した専門書であることから、初版発行部数は限られた。そのため、在庫リスクを軽減して少部数再版時の省コスト化に対応する目的で、オフセット印刷ではなくデジタル印刷が活用されている。日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社が提供する文化財アートソリューション事業では、今後も美術館 / 博物館向けのソリューションを拡充させていく予定。