YouTubeの著作権保護フィルターが公式のムービーを「著作権を侵害している」とブロックしてしまう
by Eugenio Ramírez Gómez
YouTubeは著作権所有者を保護するために「コンテンツID」という仕組みを使い、YouTube上のコンテンツを管理しています。コンテンツIDとは、YouTube上にアップロードされたムービーが他のコンテンツを侵害していないかどうかスキャンし、「著作権を侵害している」と判定された場合、ムービーの収益化をブロックしたり試聴ができなくしたりする仕組みです。そんなYouTubeのフィルターにより、「正当な権利を持つ公式チャンネルのムービーがブロックされてしまった」と著作権やプライバシー、ファイル共有ソフトに関連するニュースを報道するウェブサイトTorrentFreakが報告しています。
https://torrentfreak.com/youtubes-piracy-filter-blocks-mit-courses-blender-videos-and-more-180618/
YouTubeが運用するコンテンツIDはほとんどの場合正常に機能しているものの、時にはホワイトノイズや鳥の鳴き声がコンテンツIDに引っかかってしまうという事態が発生しています。必ずしも完璧とは言えないコンテンツIDですが、ついには著作権を持っている団体がアップロードしたムービーについてもブロックするようになってしまったとのこと。
2018年6月の中旬頃から、大学の講義内容やその関連情報をインターネットを通じて無償公開する活動をしているオープンコースウェアの一環として、MITが運営する公式YouTubeチャンネルMIT OpenCourseWareのムービーが、突然ブロックされてしまいました。
MIT OpenCourseWareのムービーを試聴してみようとすると、「この動画にはMITさんのコンテンツが含まれているため、お住まいの国ではご利用いただけません」と表示されてしまいます。ところが、ムービーがアップロードされたチャンネルは紛れもなくMIT OpenCourseWareのもの。
MIT OpenCourseWareはYouTubeのムービーが試聴できなくなってしまった事態を受けて、公式TwitterアカウントでMIT OpenCourseWareの公式ページへの誘導を行っています。
You may have noticed that we are having some trouble with our videos! Please stand by. The elves are working around the clock to fix the issue. There is still a ton of content you can use @MITOCW that doesn't have video. https://t.co/EhmEV6ywNQ. Hang in there folks! pic.twitter.com/ylvW50Nclw— MIT OpenCourseWare (@MITOCW) 2018年6月16日
また、同様の現象はオープンソースの3Dコンピュータグラフィックスソフトウェアの開発を行うBlenderの公式チャンネルでも発生しており、どういうわけだか公式のムービーが「著作権に違反している」と判定されてしまっているようです。
どちらのチャンネルも多くのチャンネル登録者を抱える公式チャンネルですが、ムービーのブロックが始まってから数日が経過した記事作成時点でも、ムービーがなぜブロックされてしまったのかという原因は判明しておらず、ブロック状態も解除されていません。また、チェコのサッカークラブであるACスパルタ・プラハの公式ムービーや、イングランドのラグビー運営団体ラグビー・フットボール・ユニオンの公式ムービーも試聴できない状態が続いています。
TorrentFreakはYouTubeに対してこの問題についての質問を送付したとのことですが、2018年6月18日の時点で回答は得られていないとしています。