麻生太郎財務相(Getty Images)

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 財務省の決裁文書改ざん問題を受け、麻生太郎財務相が6月4日、「閣僚給与の12カ月分自主返納」を表明しました。「閣僚の給料1年分」というと、かなりの金額になりそうですが、返納額は「約170万円」。1カ月当たり、14万円ほどということになります。

 この金額に対して、SNS上では「給与1年分全額返納。この見出しを見たら、さすがに大臣とおもいきや金額は170万円だって」「170万円は安すぎる」「170万円…ゼロが1つ少ない」などと否定的な意見が上がっています。なぜ170万円なのか、調べてみました。

法律上可能な額は全部返納

 この謎を解くカギは「閣僚給与の」という部分です。麻生財務相は国会議員でもあり、財務省によると、閣僚給与は国会議員の歳費を上回る分だけもらうことになっています。また、行財政改革の一環で既に2割を返納しており、閣僚としての給与が少なくなっているそうです。

 財務相の年間給与額は約2929万円と決まっていますが、行財政改革分の2割返納により、約2343万円となっていました。このうち、国会議員としての歳費が約2172万円を占めるため、それを差し引いた「約170万円」が「閣僚としての給与」として今回の返納額になる、というわけです。

 そこで「国会議員の分も含めて返納すべきだ」という声が出そうですが、これには公職選挙法上の問題が出てきます。国会議員が歳費を返納することは「国への寄付」として公選法(199条の2)に触れる可能性があるのです。ちなみに今回のように、閣僚が「閣僚としての上乗せ分」を返納する場合は「199条の2を適用しない」という法律があり、「170万円返納」となるのです。

「今回、返納可能な部分は全部返納した」という財務省の説明は正しいのですが、それでも佐川宣寿前理財局長の退職金減額幅をはるかに下回ります。さらに言えば、麻生財務相は東京や福岡などに不動産を持つ資産家。SNS上には「私には憧れの年収だけど、麻生さんには『はした金』なんだろうな」という声もありました。