マリナーズ・イチロー【写真:Getty Images】

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エレディア降格時には地元メディアから批判の声も…「影響力はベテラン陣にまで及ぶ」

 マリナーズイチロー外野手は25日(日本時間26日)の敵地ホワイトソックス戦でスタメンから外れ、最後まで出場機会はなかった。これで3試合連続出場せず。1度もグラウンドに立つことなく、敵地シカゴでの3連戦を終えた形だ。マリナーズは26日(同27日)から敵地でインディアンスと対戦するが、このシリーズでリオン・ヒーリーが故障者リスト(DL)から復帰する見込み。ヒーリーは一塁手で、イチローとポジションは違うが、地元メディアは今回も背番号51の去就について注目している。

 地元メディア「ニュース・トリビューン」は「マリナーズがリオン・ヒーリーを加えることになる。マリナーズは、ダニエル・ボーゲルバックとイチローをどうしていくのだろうか?」とのタイトルで特集を掲載。その中で「イチローをどうするかに関して、マリナーズはじきに決断を下さなければならないだろう」と言及しているが、ジェリー・ディポトGMは記事の中で改めてイチローの重要性について説いている。

 マリナーズは22日(同23日)に控え外野手のギレルモ・エレディアをマイナーに降格させた。今季打率.310、OPS(出塁率+長打率).968と課題の打撃で奮闘していた27歳を落とし、44歳のイチローを残したことに地元メディアからは批判の声も上がったが、同GMは決断の理由をその時からしっかりと説明していた。そして、今回もこう話したという。

「彼がクラブハウス内で発揮する“お手本”としての影響力は、若手に限らず、ベテラン陣にまで及ぶものなんだ。何よりもまずゴードンやハニガー、ギャメルたち外野陣は彼から吸収できるものがあるんだ」

 さらに、今後のロースターの編成については「現在よりもより長期的な意味での(ロースターの)策を見出していくよ。チームの役割を担うエレディアはもうすぐ戻ってくるんだ。そして少しの間、試しにこの状況から色々模索していくよ」と説明。その上で「イチローにも試合で彼の役割を担ってもらいながらね」と、背番号51は戦力として必要な存在だと強調したという。

「何よりもまずエレディアが今の状況をはっきりと理解している」

 ディポトGMが主眼を置いているのは、イチローか、エレディアか、という選択ではない。重要なのは、マリナーズをどのように勝たせるのか、チームとしてどのように機能させるのか、だ。強化責任者は記事の中で「我々が下す決断は、この球団をまとめていく上で何が“ベスト”なのかということを考えた上でのものなんだ。ただ単にイチローのためだったり、エレディアのためというわけでなく、この球団にとってのベストは何なのかということなんだ」と話し、こう続けている。

「“この決断は正しかった”、そう思えるようになることを期待しているよ。私はスコット(サービス監督)やコーチ陣、選手たちのことも理解している。そしてエレディアが10日間だけマイナーでプレーしてもらうことになっているけど、何よりもまず彼が今の状況をはっきりと理解しているんだ。我々がやろうとしていることもね。この状況で正しい選択をしようとしたまでなんだ。それはただ単に、チームにとっては確かに大事な存在であり続けてはいるが、このマーケットにおいて伝説となっている選手を考慮するためだけのものではないんだよ」

 イチローではなくエレディアが降格となったことに地元メディアは批判の声を上げたが、他でもないエレディア自身がその決断の意味を理解していると、ディポトGMは説明。実際に、周囲から“雑音”は出ているが、チーム内から同じような声は一切聞こえてこない。そして、イチローが現在のチームにとって大事な存在であるという認識に変わりはないという。

イチローは確かにそういった選手だね。数字上ではそう見えないかもしれないけど、これまで彼はずっとそういう選手であり続けているんだ」

 ここまで13勝10敗で地区首位のアストロズに2.5ゲーム差の3位につけているマリナーズ。2位のエンゼルスとも0.5ゲーム差と上々のスタートを切った。その中で背番号51が大きな役割を果たしていることを、ディポトGMは誰よりも強く感じているようだ。(Full-Count編集部)