川島永嗣(撮影:Noriko NAGANO)

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5月29日、日本代表海外組合宿2日目を終えた川島永嗣は1人きりのGK練習を終え、最後に報道陣の前に現れた。現在の日本代表の練習を「こんなに走ったことはない」と言いながらも表情は明るい。メスでゴールを守るようになり、試合に出ることで「感覚的によいものを出せる」ようになったと胸を張る。

日本代表での立場は、3月のUAE戦が転機だったと言えるだろう。UAE戦を前に、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が「次のゲームでスタメンでいけるという状態」と評していた東口順昭の負傷で、川島に出番が回ってきたのだ。そしてUAE戦が、2016年9月には代表選考から漏れるまでになっていた、ワールドカップ経験2回のGKの復活劇だった。

自身の落選から再びゴールを守るようになった気持ちについて聞かれた川島は厳しい表情になった。そして日本代表とはどんな場所なのかについて、静かに熱のこもった言葉で語った。

「監督は最高のものをチームに求めているし、自分が呼ばれなかったときも監督の哲学に合わないと思われると呼ばれない。そういう意味では、一人1人が最高のものを求めて、自分たちで最高のものを作っていかなければいけない。GKだけでなく、フィールドプレーヤーも1日ずつ監督にアピールしていかなければいけない」

「(外れていたときは)呼ばれる立場じゃないと自分でも感じていました。やはり、『とりあえずのもの』じゃなくて、『最高のもの』を求めなければいけないと思うし、その先に代表があると思います」

「代表というのはみんなが行きたいと思う、やりたいと思う、日の丸を背負いたいと思う場所だし、そういう気持ちって常に持たなければいけない。そしてその場所に行くには、まず自分がやれることを精一杯やるしかないと思っています」

もちろんターゲットはイラク戦。「残りの2試合(8月31日ホーム・オーストラリア戦、9月5日アウェイ・サウジアラビア戦)に厳しくなるから、ここで勝っておかなければいけないという単純な気持ちで臨んではいけない試合」と、ホームでも苦戦した相手に警戒感を強めている。この川島の鬼神のごとき活躍がなければ、イラク戦での勝利は望めない。

【日本蹴球合同会社/森雅史】