ネットに接続可能な「コネクテッドカー」の数が2020年までに2.5億台に達するとみられており、莫大なデータ量を処理する必要があることから、自動車各社はIT企業との連携強化が不可欠な状況になっています。

トヨタ自動車(以下トヨタ)では、安心で便利なカーライフを提供すべく、クルマの「つながる」技術に関する取り組みを加速させており、昨年4月には社内にコネクテッドカー開発を推進する新組織「コネクティッドカンパニー」を設置。

また、マイクロソフト社と共同で、米国に合弁会社「TC」(トヨタ・コネクティッド)を設立し、車載通信機「DCM」(データ・コミュニケーション・モジュール)から得られる情報をビッグデータとしてクラウドに集約、活用する研究を進めています。

6月には「KDDI」と共同で、DCMとクラウド間において、高品質で安定した通信をグローバルに確保するために、従来のローミングサービス等に依存しない「グローバル通信プラットフォーム」の構築を推進すると発表。

各国・地域で仕様が異なっているDCMを、2019年までにグローバルで共通化し、2020年までに日本・米国市場で販売されるほぼ全ての乗用車に搭載、その他の主要市場においても順次搭載を進めていくとしています。

トヨタは昨年11月、こうした一連の「つながる」技術の進捗状況をまとめた「コネクティッド戦略」に関する説明会を開催。

また、今年に入ると同社は3月27日に、NTTとのコネクテッドカー分野での提携を発表しました。

傘下のNTTドコモ、NTTデータ、NTTコミュニケーションズも参画するなか、自動運転での協業も視野に、次世代の超高速無線規格である「5G通信」を使った実証実験を来年からスタートさせるそうです。

一方、トヨタとの提携で実質的にNTTと競合する立場となったKDDIは4月25日、トヨタや東京ハイヤー・タクシー協会と共同で、ビッグデータを活用した「つながるタクシー」の実現を目指す実証実検を開始しました。

公共交通機関であるタクシーのより効率的な配車や、将来のタクシー向けの高度運転サービスを目指し、都内のタクシー500台に通信型ドライブレコーダー「TransLog」を搭載し、KDDIのLTEネットワークを通じて、実際の走行画像や車両データをリアルタイムに収集。

車線ごとの混雑状況や障害物の有無を含むダイナミックマップを生成するなど、ビッグデータを解析する事で、モビリティサービス・プラットフォームの機能拡充や、タクシー事業者向け新サービスの開発、次世代タクシーの開発に活用するそうです。

このように、トヨタはマイクロソフトをはじめ、KDDI、NTTなどのIT企業と連携することで、欧米勢とのコネクテッドカー開発競争をリードする考えとみられます。

(Avanti Yasunori・画像:トヨタ自動車)

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