縁もゆかりもない人のことを「赤の他人」と表現しますが、なぜ単に「他人」とは言わずに、「赤」という色を使って表現するのでしょうか。また、そもそも「赤」である理由は何でしょうか。

 オトナンサー編集部では、カラー&イメージコンサルタントの花岡ふみよさんに聞きました。

元々「明い」という言葉だった?

「赤」を使った慣用句は「赤の他人」以外にも、「真っ赤なうそ」「赤っ恥」「赤裸々」などがありますが、これらはそれぞれ、「他人」「うそ」「恥」「裸」を強調するために「赤」が使われています。

 花岡さんによると、「赤」が使われるようになった理由は諸説ありますが、最も有力とされるのは、これらの慣用句における「あか」は元々、「明い(あかい)」という言葉であったという説です。「明らかな他人」「明らかなうそ」だったものが、後に「赤」という漢字が当てられるようになった、というものです。

 そのほか、仏教用語で、仏前や墓前に供えられる「水」を意味する「閼伽(あか)」が転じたという説もあります。つまり「閼伽のように冷たい関係の他人」=「赤の他人」という解釈ですが、「真っ赤なうそ」「赤っ恥」など「赤」を強調の意味で使用する単語はほかにもあるため、「この説には無理がある」という意見もみられます。

「いずれにしても、『赤』という視覚的な効果を加えることでその意味を強調し、強烈な印象を与えられるからこそ、『赤の他人』が定着しているのかもしれません」(花岡さん)

(オトナンサー編集部)