カリフォルニア州が「本当の自律走行車」を走らせるための一歩を踏み出した

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カリフォルニア州で、自律走行車の実用化に向けた新たなステップとなる規制案が提案された。テクノロジーのメッカでの決定は、世界の自律走行車に対する方針に影響を与えるかもしれない。

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もしあなたがカリフォルニア在住なら、自律走行車を見かけたことがあるかもしれない。21もの企業がこの黄金の州で技術のテストをしており、自律走行車はそこら中を走り回っているからだ。しかしこうした光景も、まだまだ未来的とはいえない。まだクルマは真の意味で「ドライヴァーレス」なわけでもなく、一般の人々が使用できるわけでもない。州法により、訓練を受けた人が後部座席に座るよう義務づけられ、技術の使用は試験のみに限定されているからだ。

しかしいま、シリコンヴァレーを擁するこの州は、大きな“黄金の入った袋”を手にしようとしている。3月11日(米国時間)、カリフォルニア州車両管理局は、自律走行車の商用化に向けた新たな規制を提案した。これにより、あなたが自律走行車を見かけるときはもっといい写真が撮れるようになるだろうし、最終的には新しいライドシェア体験もできるようになるだろう(ロボットカーが迎えに来てくれれば、運転手との気の進まない雑談をする必要もなくなるはずだ)。

カリフォルニア州が自律走行技術を歓迎するのは、もっともなことだ。同州では毎年3,000人が路上で死亡している。自律走行車が実用化されれば、衝突の原因の90パーセントを占める人的ミスをなくせるかもしれない。また、人々がもっと簡単に移動できるようになり、(おそらくは)二酸化炭素の排出が削減され、経済が活性化されるかもしれない。

「これは、いずれカリフォルニアの道路で運転者のいない自律走行車を認めるための、新しいステップです」と、車両管理局の責任者であるジーン・シオモトは言う。

これは規制案にすぎず、車両管理局は最終決定する前に公聴会を開き、45日のパブリックコメント募集期間を設けることになる。この案では、クルマメーカーが完全に運転者をなくす前に、地元管轄局から書面による支持を得ることを義務づけている。企業はまた、万が一に備えて人がクルマを操作できるようにするために、車両に通信システムを備え、遠隔操作できるようにしなければならない。

だが今回の規制からは、あることが抜けている。ロボットカーの単独走行を許可するにあたり、運転試験がないことだ。その代わり、企業が自社車両を「自己認証」することが求められる。

「これはわたしが車両管理局に行って、『信じてくれ、わたしは素晴らしいドライヴァーなんです』と言うようなものです」と、ワシントン大学法科大学院でロボティクス法を研究するライアン・キャロは言う。「正直なところ、これはちょっと心配になってしまいます」。彼は、共通の基準を設けるか、もしくは少なくとも第3者による検査をすべきだと考えている。

カリフォルニアの道路で起こること

自律走行に関する法律をもつ数少ない州のうち、カリフォルニアの規制は最も厳格な部類に入る。同州は、クルマメーカーが衝突と「離脱」(中にいる人間がロボットからコントロールを取り上げること)の頻度を測り、公に報告することを義務づけている唯一の州である。人々に情報を伝え、各企業の技術がどのくらいよく機能しているかを知るための(不完全な)測定法だ。

新しい規則では、特定の基準を満たさない限り、企業が車両を「自律走行車」として宣伝することを禁止している。しかしこの基準には、明確性が欠けている。たとえばテスラは、同社の自動運転システムにドライヴァーが期待するほどの能力がないのではないか、という批判に直面している。Uberは、人間のバックアップが必要な同社のクルマは自律走行車の定義を満たさないと州にいわれ、自律走行の許可を申請するのを取りやめた。このあいまいさは、自律走行車の使用者が、この新しい技術を信頼していいのかどうかを判断する際の問題となっている。

「これからの数年間は、消費者の自律走行車に対する印象が決まる期間となります」と、カーネギーメロン大学の土木環境工学教授のコスタス・サマラスは言う。「第一印象は重要です」

そのほかの49州は、各州独自の規則を制定することになるかもしれない。しかしカリフォルニア州は、シリコンヴァレーのホームとして、この議論に関しては並外れた影響力をもつ。「(カリフォルニア州)車両管理局の新しい規制に関する議論は、その大部分が連邦レヴェルでも行われることになるでしょう」と、サウスカロライナ大学で自律走行車を研究するブライアント・ウォーカー・スミスは言う。連邦政府は自律走行を推進しようとしているので(主に安全上のメリットのため)、カリフォルニアの道路で起こることは、米国中でも、そして世界中でも起こる可能性が大いにあるのだ。

だから、相乗りした運転手とのたわいないおしゃべりは、できるうちに楽しんでおこう。ロボットはそんなにおしゃべりではないかもしれないから。

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