IT調査会社IDC Japanが5日発表した国内外付型エンタープライズストレージ市場の調査結果によると、2015年の同市場の支出額は前年比7.4%増の2,016億円だった。金融、官公庁のメインフレーム向け大型更新案件が集中したことやオープンシステム向けが高成長を続けていることが高い伸び率につながったという。

 同社によると、2015年のメインフレーム向け支出額は前年比26.9%増の335億3,200万円、オープンシステム向けが同4.2%増の1,681億円だった。オープンシステム向けは仮想化環境(サーバー仮想化、デスクトップ仮想化)やクラウド環境(パブリッククラウド向けとプライベートクラウド向け)で高成長を継続しているという。

 2015年のベンダー別の売上シェアの上位5社は、1位から順に日立製作所(17.6%)、富士通(16.7%)、EMC(14.7%)、IBM(11.4%)、NEC(9.5%)だった。

 接続環境別では、最も大きな市場規模を持つFC-SANの支出額が前年比4.0%増の986億2,900万円だった。仮想化環境やクラウド環境でコストパフォーマンスに優れたミッドレンジクラスの成長が継続しているほか、全量フラッシュデバイスを搭載したオールフラッシュアレイが国内市場で本格的に立ち上がってきたことがFC-SAN支出額の増加に寄与した。

 NASは同9.6%増の462億2,500万円だった。NASの用途が従来のファイルサーバーのほかに、仮想化環境やクラウド環境でのストレージインフラに広がったことが成長につながっているという。特に容量や機能を柔軟に拡張できるスケールアウトNASの比率が上昇した。

 国内外付型エンタープライズストレージシステム支出額の2015年〜2020年の年間平均成長率は0.6%、2020年の支出額は2,074億400万円に達すると予測している。

 2016年の国内外付型エンタープライズストレージシステム支出額は、前年のメインフレームの大型更新の反動でマイナスとなる見込みだが、2017年以降の支出額は1%台の成長を持続していく見込み。仮想化やクラウド向けの支出のほか、オールフラッシュアレイなどを含めたフラッシュストレージへの支出額が増加していくと予測しているという。

 IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ/PCs グループディレクターの森山 正秋氏は「国内エンタープライズストレージシステム支出額は、クラウド環境の拡大やオールフラッシュアレイなどの新テクノロジーの台頭に伴って構造が大きく変化している。ストレージベンダーは大きな構造変化を踏まえた上で、自社が競争優位を持続できる市場を見出していくことが求められる」と分析している。