透明飲料ブームは「いつまで続く?」

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本格的な夏の到来を前に、無色透明な「水」に味や香りなどを加えた「フレーバーウオーター」の新商品が続々と登場している。インターネット上でも、「最近、清涼飲料水どんどん透明化してない?」「透明飲料増えたねえ」との声が囁かれるほどだ。

清涼飲料水の新たな「トレンド」としてブームを巻き起こすフレーバーウオーター。市場調査会社「飲料総研」の宮下和浩取締役は、「低果汁のジュース類に対するマイナスイメージを背景に、『健康に良さそうな』見た目が消費者に受けている」と分析する。

既存ブランド商品を「透明化」

マーケティング会社の「富士経済」が発表した市場調査の結果によれば、2015年のフレーバーウオーター市場の販売総額は14年比1.7倍の603億円。11年には236億円だったのが、4年間で2.5倍超に伸びている(2016年5月25日発表)。

市場の拡大が進む中、飲料メーカーもこぞって新商品を投入している。16年1月にカルピス社を吸収合併したアサヒ飲料は、「おいしい水プラス『カルピス』の乳酸菌」シリーズを7月26日から発売する。

アサヒグループホールディングスの広報担当者は6月21日、J-CASTニュースの取材に対し、「カルピスの乳酸菌を加えた『健康水』として、健康志向の強い消費者にアピールしたい」と説明。ただ、「具体的な健康効果をうたっているわけではない」と付け加えていた。

そのほかにも、日本コカ・コーラの「アクエリアス ウオーター」(6月20日発売)や、サントリー食品インターナショナルの「グリーンダカラ」(5月10日にリニューアル発売)など、既存ブランドの商品を「透明化」する動きも目立つ。

このように、新商品が続々と登場するフレーバーウオーターについて、ツイッターやネット掲示板などには、

「最近、水みたいに透明なのに実は味が付いてる飲み物多くない?」
「いままで着色料で色着けて売ってたものを透明なまま売ることで、新鮮だし何か健康的な感じすらする」
「何でもかんでも無色透明にしてるけど不自然で怖い」

など賛否それぞれの意見が出ている。

「いつまでもブームが続くとは思えない」との指摘も

前出の宮下氏によれば、透明な飲料が消費者に好まれる理由は、「低果汁のジュース類に対するマイナスイメージ」が背景にある。人工着色料や甘味料などを避け、「自然由来の健康的な飲料」を求める消費者の増加を受け、メーカー側が考えたのが「健康に良さそうな」透明の清涼飲料水なのだという。

健康志向が強く、普段は水や茶ばかりを購入する消費者であっても、甘いジュースが飲みたいときもある。宮下氏は、そうした人でも「罪悪感なく手に取りやすい」ことが流行の一因になっているとも説明する。

フレーバーウオーターは、2010年7月に日本コカ・コーラが発売した「い・ろ・は・す みかん」が流行の火付け役となった。それから約6年。ここ最近の市場動向について、宮下氏は、

「味や香りでの差別化が難しくなり、メーカーは既存の『ブランド力』を活かした展開を進めているのが現状です。アサヒ飲料が発売する『おいしい水』と『カルピス』のコラボ商品がいい例でしょう」

と分析する。さらに、「フレーバーウオーターは、あくまで『健康に良さそうに見える』商品。そうしたイメージが、いつまで消費者に通用するかは分かりません」と述べ、「いつまでもブームが続くとは思えない」と結論付けていた。