目に涙を浮かべる東出昌大

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 俳優の東出昌大が26日、都内で行われた映画『GONIN サーガ』の初日舞台あいさつに出席した。東出はイベント中盤に病気などを理由に2010年に俳優業を引退し、本作で一度きりの俳優業復帰を果たした根津甚八からの手紙を代読。読み終えると感極まるように目に涙を浮かべた。

 本作は鬼才・石井隆監督が放つ、人気アクションシリーズの第3弾。ある5人組が起こした暴力団からの現金強奪事件の19年後を舞台に、その事件に深い因縁を持つ者たちが新たな戦いを繰り広げていくさまを描く。この日は桐谷健太、土屋アンナ、柄本佑、安藤政信、福島リラ、竹中直人ら共演者と石井監督も登壇した。

 手紙には根津の「演じることは自分にとって生きることそのものでした。それができなくなり、引退は諦めでもありました。諦めていた自分に再び演じることの楽しさを味わわせてくれた監督に心からお礼を申し上げます」というコメントと、「たすきを受け取ってくれると言ってくれた東出くん。その言葉で演じたいのに演じることができない無念を断ち切ることができました。東出くんだけでなく、若い俳優たちの姿を見て、自分の思いを背負ってくれる、自分はできる精いっぱいをしたんだという気持ちで俳優人生を締めくくることができました。生きている根津を見届けてくださって感謝しています」と切々とした思いがつづられていた。

 東出は読み終えると言葉を詰まらせ、「一本の映画ができるまでにみんな、心血を注いで撮っているんです。僕らも心血を注いで映画を撮り続けるので、役者頑張るので、だから皆さんにも邦画を愛し続けてほしい」と客席に呼び掛けた。竹中も「根津さんとは何度もご一緒させていただいたけれど、全然かなわないですね。色気があってたまらなくすてきで。その根津さんとまた同じ映画に出演できたこと。すごいことだなって思います。本当に素晴らしい尊敬できる俳優です」と根津の本作での奮闘をたたえていた。(取材・文:名鹿祥史)

映画『GONIN サーガ』は全国公開中