そのボールを見た瞬間、「どんな神経をしていたら、この場面でこのボールを投げられるんだ?」と思わずにはいられなかった。初めての甲子園のマウンド。相手は智辯和歌山という高校球界屈指の名門。2回裏、0対0の均衡が破れそうな二死満塁の大ピンチ......。並の人間なら逃げ出したくなるシチュエーションで英明(香川)のエース右腕・下村健太郎がウイニングショットに選んだのは、97キロの緩いボールだった。智辯和歌山