グルメ界には、そのジャンルに特化したプロが多く存在する。

今回は、尋常ならざる熱量で“鮨食”を重ねてきた彼らから“最推しの鮨店”を教えてもらった。まさにお宝である。


最推しの店を教えてくれたのは…


鮨評論家・早川 光氏


東京都出身。漫画原作者、著述家。最新作は『1,000円のしあわせ』(作画・シタラマサコ)。BS 12の寿司番組『早川光の最高に旨い寿司』ではナビゲーターとして出演。


1.奥渋に潜むモダンな鮨店で丁寧な仕事に魅了される
『鮨 五徳』




渋谷でも閑静な「奥渋」エリアには良い店が多いが、ここはその中でも落ち着いた一角にある『鮨 五徳』

モノトーンでスタイリッシュな一直線のカウンターは、芝居の舞台のような非日常感がある。

ニュアンスのある壁が高級感を漂わせているが、極上の素材をそろえた「おまかせコース」が1万8,150円というのは、場所柄を考えるとかなりリーズナブル。

元々は渋谷の遊歩道沿いにあったそうで、親方は鮨職人になって30年というベテランで安心感も高い。

握りの合間に懐石のような秀逸な料理が挟み込まれているのも私好み。



魚のあらの出汁で炊いた大根にのせた「あん肝」


たとえばあん肝は、75℃、25分の低温調理でしっとりなめらかに仕上げるなど、手が込んでいる。

そして料理も握りも食べるスピードに合わせてベストのタイミングで供されるのが嬉しい。



この日は三陸・塩釜の「まぐろ」。まぐろは近海もののみを使う


握りでは平目には煎り酒、カツオには和がらしなど、合わせる調味料を変えたり、同じまぐろでも赤身とトロでシャリを変えたり。それがすべて相性抜群。




京都舞鶴の「鯵」には生姜とねぎをしのばせてワサビを乗せる。

すべてコース(¥18,150)の一例。



佐賀の「光栄菊 清海」。フルーティな甘い香りですっきり。¥1,210〜


日本酒の品ぞろえも良く、佐賀「光栄菊」などを幅広く揃えているので日本酒好きな女性にも喜ばれる。



2.銀座にあって2万円台。鮨とワインの相性に心打たれる
『鮨 おちあい』



ひとりでも目が届くL字のカウンター。壁は素焼きのタイル貼りでワインバーのような雰囲気だ


『鮨 おちあい』は、銀座でしっかり飲んで食べても、2万円台前半くらいで収まるからデートには嬉しい価格帯だ。

それでいて、扱う魚のレベルが総じて高い上にソムリエの店主がペアリングまで提案するのだから、満足度もすごい。

魚は毎日豊洲に通って多くの仲買さんと顔なじみになる努力をしていると聞いている。だからこそこの価格なんだとか。

銚子産の金目鯛、明石産の真鯛などもあり、北海道浜中産エゾバフンウニ、葛西臨海公園産のハマグリみたいに期間限定の魚介も仕入れていて楽しい。まぐろは常にその時季のベストを仕入れていて、こちらも出色だ。

そしてここの握りはなんといってもシャリが最高。希少な江戸前の赤酢をベースにブレンドし、どんな魚にも合う。

ワインや日本酒など、お酒の種類も豊富。大将の落合晋也さんはソムリエ資格を持つワインのプロで、日本酒にも詳しいし、ペアリングのセンスも抜群。


いくらを優しく包むシャンパーニュが正解


優しい塩味と柚子が香る出汁入りのイクラの醤油漬け。

ワインと難しい魚卵でも、小規模メゾンによる泡「ダニエル・デュモン シャンパーニュ ブリュット・グラン・レゼルヴ NV」なら万能。グラス¥2,600。


軽やかなシャコにはミネラル豊富なドイツの白と


旨みが強いシャコだがあっさりした煮切り醤油を使うので、ミネラル豊かで穏やかな酸味のドイツの「ゾンマーハウザー シュタインバッハ シルヴァーナ トロッケン エアステ・ラーゲ」を。グラス¥2,200。


コク深いカワハギにはフランスの爽やかな白を


カワハギは上にのせた肝と相性が良いソービニヨンブラン「ドメーヌ・デュ・プレ・サンムレ サンセール・ブラン」と一緒に。

ミネラルと青いハーブの香りがシャリにのせたアサツキと呼応。グラス¥1,800。




しっとりふんわりプリンのような、なめらかな「玉子焼き」。こんがりと焦がした上下の香ばしさがアクセントになっている。

夜は季節のおまかせ¥19,800〜。ワインはグラスでいろいろ飲める。



銀座のビルの一角にあり、非常口と見紛う防火扉の向こう側に看板が現れる


内装は瀟洒なバーのようで間接照明も趣がある。

店の外には防火扉があって、店内が外からまったく見えないから、サプライズ感もデートに効くこと間違いなし。


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