口下手でも上手に会話をつなぐコツって? スピーチコンサルタント・村松加王里さんに聞く

写真拡大 (全2枚)

フランス人はおしゃべりだ。カフェではコーヒー1杯で延々話し続けるし、食事時もご飯が冷めてしまうのではと、こちらが心配するくらい、ずっとしゃべっている。また初対面でも話をうまくつなげられる(というか、自分の話したいことを一方的に話す)人が多い印象だ。

一方で、日本人は初対面の人との会話を苦手にする人が多い。相手と上手に話をつなげていくにはどうしたらいいのか? NHK「あさイチ」に出演したり、著書『会話が続くコツ』などを持つスピーチコンサルタント・村松加王里さんに、口下手でも相手の心を開くテクニックを聞いてみた。

――会話が続く人は何に重点を置いて話しているのでしょうか?
「どのように話したらいいのか」と気負うことをやめましょう。その時感じた自分の気持ちを、率直に伝えていくだけでいいのです。「すごい」「感動した」といった短いフレーズでかまいません。気の利いた言葉を探そうとすると、余計に緊張してしまいます。誰しも自分の話を聞いてほしいと思っています。それをつかめば会話を続けることは簡単です。相手の話に耳を傾け受け止める姿勢を崩さず、ところどころで問いかければ、自然と相手はあなたに色々話してくれます。笑顔も忘れずに! 雰囲気がさらに良くなりますよ。

――初対面の人ともっと距離を縮めたいです。
自分が先に心を開きましょう。自分のことを進んで話していくことで、相手の心はよりオープンになっていきます。例えば自ら、ちょっとしたプライベートの話題を出せば、相手も親近感を持ってくれます。自己開示することで信頼関係が築きやすくなるのです。

――それでもやはり相手と距離があるのですが……。
もっと相手を安心させる必要がありますね。人は本音と建前を使い分けながらコミュニケーションを取っています。そのため相手があなたのことを信用していなければ、本音の話は出てきません。「相手の話をしっかり受け止める態度で聞いているかどうか」「その話題を話すことに適切な場所かどうか」「場所が持つ雰囲気」の3点を頭に入れながら、相手に信頼感を与えることが大事です。

――コミュニケーションに潤滑油はありますか? 
褒めることは会話の大切なエッセンスです。服やアクセサリーなどの持ち物や、ヘアスタイルなど目についたものでかまいません。一言さらっと褒めます。人は褒めてくれる人に対し好印象を持ちます。褒められた相手が嬉しそうな顔をすれば、自分の気持ちも悪くないですよね。もちろん会話も盛り上がります。人に不安を与えたり、悲しませたり、怒らせることより、お互いが幸せになります。

――話がいまいち盛り上がらないのですが。
受け答えにメリハリを効かせましょう。話を盛り上げるためには、「褒める」「テンションを上げる」「共通の話題を見つける」「笑いが起こる話をする」「リアクションを良くする」「相手が興味のある話をする」ことが重要ですが、すべてに共通する点は会話のメリハリです。相手にわかりやすい動作であなたの気持ちを伝えることで、相手からもっと話を引き出すコツになります。

――人前だと気取ってしまいます。
自分が知らないことを質問できる勇気があるかどうかで、話の盛り上がり方が変わります。質問するということは、あなたが話を真剣に聞いていることを伝えます。自分の知らない話題が出た時も、プライドから知ったかぶりをするのではなく、素直に聞いてみましょう。「教えてください」という言葉はとても謙虚です。言われた人も親切に教えたくなります。もしバカにされたとしても、相手がその程度の人間だったと思えばいいのです。

――横文字・専門用語を多用する人が苦手です。
横文字や専門用語は、それら言葉を理解できる人同士であれば盛り上がりますが、専門外の人にはタブーです。話が続いたとしても相手は退屈に感じます。分かりやすい言葉を用いて意思疎通を図り、常に相手に寄り添う気持ちが大切です。

――空気が読めないと言われます。
「小さなことも聞き逃さない」「相手の話に即座に反対しない」「相手の気持ちを傷つけない」「会話中は話相手に集中する」「相手のサインを見逃さない」という5項目に気をつけ、相手の話をしっかり受け止めることを心がけてください。「気分が良くなりついつい話し過ぎてしまった」と相手に言わせられたら、その時はあなたの勝ちです! 拙著『会話が続くコツ』では、これまでに挙げたこと以外にも、会話の様々なポイントを解説しています。聞き上手になって、コミュニケーションの良さをぜひ味わってみてください。
(加藤亨延)