おもてなし電報サービス「結鶴(ゆづる)」(4500円税抜/本うるし塗り小箱+メッセージ300文字まで、台紙付き)

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メールや電話がこれほどまでに普及した現代では、「ハハキトク」とか「サクラサク」などの緊急連絡のために電報を使う人はまずいないだろう。私自身は冠婚葬祭で使うくらいだが、最近はどんなシーンで電報が使われているのだろうか?

電報サービス「VERYCARD」を提供している株式会社ヒューモニーに話を聞いてみると、いま、電報の使い方はかなり多様化しているらしい。同社では利用者の多くが法人で、使い方としては、この春大学を卒業する新入社員に「卒業おめでとう」という電報をおくったり、社員の誕生日に社長の名前でお祝いメッセージをおくるなど、福利厚生的な意味合いで活用する例も少なくないとか。また、建築メーカーが新居に住み始めたお客さんに新生活を祝う電報をおくったり、塾が生徒に合格祝いをおくるなど顧客サービスの一環として電報を利用するところもあるという。

一方、個人の用途も、冠婚葬祭以外にも広がりつつあり、たとえばお見舞い電報なども増えているそう。
「最近は生花が持ち込み禁止の病院も増えているためか、ボトルフラワー電報の利用も増えています」(ヒューモニー担当者)
ほかには劇場の楽屋にファンが電報をおくったり、ユニークなところでは夫婦げんかの仲直りのために自宅に電報をおくったという人も。メールでは素直に謝れない人も電報ならいけるかも? 

このように電報の用途が多様化する中、ヒューモニーでは電報を日本流のおもてなしとしても活用しようというユニークなアイデアを提案。3月1日から「おもてなし電報サービス」をスタートさせた。具体的には、日本の企業や個人が、日本を訪れるビジネスパートナーや観光で来日する友人などを歓迎するために、彼らの滞在ホテルなどに「メッセージと日本の伝統うるし小箱」がセットになった電報を贈り、歓迎や感謝の気持ちを伝えようというものだ。

基本的に海外には日本のように冠婚葬祭のマナーとして電報をおくる文化がなく、電報をもらうこと自体が新鮮。事前におこなわれたモニター調査などでも「日本らしいおもてなし」として非常に喜ばれたという。

訪日ビジネス客を迎える企業側にとっても、手間が省けると好評だ。というのも、これまでは海外からビジネス客を迎える場合、自分たちでメッセージカードとお土産を用意し、メッセージを記入し、ホテルに持参しなければならなかったからだ。1人2人ならいいが、10人以上のグループともなると荷物も多く一苦労。もちろん、ときにはホテルに頼んで簡単なメッセージとフルーツなどを部屋にセットしてもらうこともあったが、その場合、メッセージは簡素な内容になるのが一般的。それがこの「おもてなし電報サービス」を使えば、メッセージは自分の言葉で書けるし、ホテルに届ける手間も不要。手配もネットで簡単にできる。

「電報の新しい用途を提案したいと思っていたところ、ちょうど訪日(インバウンド)市場が盛り上がっていることを知り、おもてなしとしての活用を思いつきました」(ヒューモニー担当者)
ちなみにセットアイテムの素材は日本での伝統を感じられるうるしを採用。形は実用的な小箱にしたそうだ。名刺入れにぴったりなサイズだが、もらった海外の人の中にはジュエリーボックスやカフス入れにしようという人もいる。おもてなし電報サービスは6月末までモニターを募集しているそう(問い合わせ press@humony.co.jp)なので、機会があればぜひ試してみては?

メール全盛の今だからこそ、あえてひと手間かける電報はメッセージ以上の気持ちも一緒に届けられるはず。アイデア次第でいろいろな使い方ができそうだ。
(古屋江美子)