ダルビッシュ有が受けて話題に トミージョン手術とはなんだ!?

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先日、ダルビッシュ有がトミージョン手術を行った。というニュースが伝えられた。日本人にとっては、やはりショッキングな話題である。
しかし、このトミージョン手術とはどんなものかを知っている方は少ないのではと思う。そこで、今回はダルビッシュ有も行ったトミージョン手術とは何なのかを紹介していこう。

【トミージョン手術の概要は】


■トミージョン手術ってどんなもの?
投手や野手が何らかの理由で肘の靭帯が損傷した場合、別の筋肉から正常な腱を移植することで回復を図るという手術のこと。

■リハビリ期間は?
だいたい1年ほどと言われている。しかし、日本人選手は欧米選手と比べ治りが遅いため、より多くのリハビリ期間が必要という指摘もある。

■トミージョン手術の名前の由来は?
「トミージョン」とは初めてこの手術を受けた選手の名前が由来。投手であったトミージョンは手術後、3回もシーズン20勝以上を記録するなどカムバックを果たした。

■トミージョン手術の発案者は?
この手術を発案したのはスポーツ医学の権威として知られるフランク・ジョーブ博士。パワプロの「サクセスモード」で出てくるダイジョーブ博士のモデルとしても知られている。

■誰がトミージョン手術を受けている?
これまで日米など合わせて800人以上がこの手術を受けていると知られている。プロ野球では、「マサカリ投法」の村田兆治、桑田真澄。メジャーに行った日本人投手では、松坂大輔、和田毅、藤川球児、ダルビッシュ有が挙げられる。また、メジャーリーグの若手有望投手も多く受けていることが問題視されている。

■トミージョン手術の成功率は?
成功率は90%近いとも言われている。しかし、逆を言えば10%ほどはマウンド戻れない可能性があるということであり、実際に手術後に復帰できなかった選手もいる。

【トミージョン手術が増えている原因は】


トミージョン手術の概要は以上で述べたとおりだが、最近は日米でトミージョンを受ける選手が急増していることが問題視されている。確かにメジャーに移籍した多くの日本人投手がこの手術を受けている。手術が増えている(=肘の靭帯損傷が増えている)理由としてはよく挙げられるのは以下のような点だ。

■少年時代からの酷使
最近、少年野球のレベルが上がり、まだ体が成熟していない段階から速い球や様々な変化球を投げる。このことが靭帯を痛める要因になっているのではないかという指摘だ。

■球速の向上
現在の野球を見ていると、数年前に比べて速い球を投げる選手が増えた。メジャーでも100マイル(160キロ)を超える球を投げる選手は珍しくないし、日本でも大谷や藤浪のように150キロ後半のボールを連発する投手が増えた。しかし、この球速の向上に肘の腱が追い付けず損傷につながるとの指摘がある。
また、球速向上のために筋肉トレーニングをすることも肘に負担を与えるのではないかと考えられている。

■特定の球種の多投
カットボールや日本人投手が多く投げるスプリットが故障につながるとの指摘もある。アメリカでは、スプリットは故障するために投げてはいけない球という認識もあるほどだ。

■「中4日」の登板間隔
アメリカでは日本の野球と異なり、先発投手は「中4日」の間隔で登板することが一般的だ。この中4日制に関して、ダルビッシュ有が「肘を痛める原因は中4日という短い登板間隔にある。」と発言し、大きな話題となった。

■手術の認知度が向上
そしてトミージョン手術の認知度が向上し、容易に手術を受けられるようになったことも理由のひとつだろう。一部では、トミージョン手術を受けると球速が上がると好意的に捉える意見もあるほどだ。

だが、このような理由はあくまでも「推測」というレベルであり、確証されたものには至っていない。というもの、故障は一般的にこれらの要因が組み合わさって起きたり、登板間隔などで起きる肘の負担の上昇が医学的に証明されていなかったりするからだ。
メジャー移籍した日本人が多く手術を受けている点においても、高校時代(甲子園)での投げすぎ、日米のボールやマウンドの違い、スプリットの多投などが語られているが、こちらに関しても決定的な証拠はない。

しかし、理由が明確ではないとはいえ、選手の故障が頻繁に発生しているということは避けようのない事実だ。
球団の首脳陣や球界関係者たちにはケガを防ぐ方法を確立することを期待するとともに、ダルビッシュ有が1日でも早く復帰し、手術前のように活躍する姿を見られることを願いたい。
ダルビッシュ有の変化球バイブル ハンディ版
(さのゆう)