花粉症といっても、鼻水、鼻づまり、目のかゆみだけではありません。

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花粉症の人にとっては地獄の日々が続いている。

花粉症歴15年以上の自分にとっても憂鬱なシーズンだが、最近、クスリを飲んでいるせいか、鼻水やくしゃみがあまり出なくなっている。

ときどき「花粉症があるとき、突然治った」なんて人の話を聞くことがあるけど、もしかして?……などと、淡い期待をしていたところ、不思議な事態が、昨年から起こっていることに気づいた。
手や足にじんましんのようなものが出るのだ。例えば、机の抽斗や棚から何かを取り出すとき。手の甲が少しこすれただけで、赤いミミズ腫れのようなものができる。
スーパーの袋が手に食い込むだけで、やはり赤いミミズ腫れになるし、ペットボトルのフタを開けるだけで、手のひらがジンジンと痛がゆくなり、赤くなる。また、洗濯物を取り込むとき、花粉を払うために叩いた右手だけが真っ赤になったこともあった。

最初は乾燥による湿疹かと思ったけど、これってもしかして、花粉症のせい?
都内の皮膚科に聞くと、こんな回答があった。
「花粉症によるじんましんは、確かにあります。一般的には顔に出る場合が多いのですが、手など、外に出ている部位に出ることもないわけではありません」
乾燥による湿疹か、じんましんかの違いは、「湿疹の場合、腫れがひいても、ブツブツあるいはザラザラした感じが多少残る。でも、時間が経つと完全に消える場合は、じんましん」という説明だった。

ちなみに、じんましんの原因の特定はかなり難しく、花粉症によるものかどうかは「スギ花粉が飛ぶ時期にいつもなる」といった症状から判断するしかないと言う。

手などは直接花粉に触れるだろうけど、気づくと、膝の裏や太もも、腕の内側のやわらかい部分にも気づいたらプツプツ+赤いみみず腫れが出るけど……。
「アレルゲンの物質が直接触れてできるじんましんは『接触性じんましん』といって、わかりやすいですが、吸入した場合など、直接触れたわけではなく、体内から出るじんましんは多いんです。接触性の場合はじんましんが出た箇所に外用薬を塗ると良くなりますが、体内からの場合は、外用薬ではあまり意味がなく、冷たい水などで冷やしたほうが効果的ですし、続く場合には内服薬を飲まないと治りにくいこともあります」

それにしても、花粉症で、鼻水があまり出なくなったら、じんましんが出るなんてこと、あるもの?
「I型アレルギーの症状には、花粉症やジンマシン、ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アトピーなどがあります。その中の複数の症状が併行して重くなるケースもときどきはありますが、たいていはシーソーのように、どれかが良くなればどれかが悪くなるといった感じになるんですよ」
実際、鼻水が出なくなったら、じんましんやぜんそくになったというケースは、意外とあるそうだ。

ちなみに、一昨年あたりから、春になるとひどい咳と声嗄れがあり、ぜんそくの吸入を出されたら、ぴたっとおさまる状態も続いている。
どうしたら?
「これまで花粉症のクスリを飲んでいるのに、他の症状が出た場合には、I型アレルギーを抑えるクスリ、例えば、アレグラなどをプラスします。症状が出なくなったからといってすぐ辞めるのではなく、例えば1日2回飲んでいて良くなってきたら、1日1回、さらに良くなったら2日に1回にするなど、徐々に減らしていくのがオススメです」

そして、医師の指示通り、I型アレルギーを抑えるクスリをプラスしたところ、じんましんが出なくなっている。
鼻水・鼻詰まりがマシになったのはラクだけど、じんましんや軽度のぜんそく症状が現れ、別の展開に移行しているらしい花粉症。

春の戦いは、まだまだ続く。
(田幸和歌子)