外資導入には賛成だが、Jリーグ規約を変えなければ劇的な変化は起きない。村井チェアマン(写真)の決断は? (C) Getty Images

写真拡大 (全3枚)

 来季からJリーグが外資参入を認める方針だと一部メディアが報じたね。現在の規約だと、外資系企業がクラブ株式の過半数を保有することは認めていないけど、日本法人を設立して運営にあたれば規約違反にはならないという判断のようだ。つまり、外資系企業がその気になれば、実質的な経営権を握れるわけだ。
 
 これは、悪くない話だよ。今のJリーグは観客動員が低迷しているし、景気も停滞して大口のスポンサーも見つかりにくい。当然、資金繰りが苦しくてワールドクラスのタレントを獲得できないから、さらに魅力が減退していく負のスパイラルに入っているんだ。それを打開しようと、外資を導入してリーグを活性化させようという案は大いに結構だよね。
 
 とはいえ、今のJリーグに投資するだけのメリットがあるかと聞かれれば、首を傾げざるを得ない。投資したとしても、どうやって回収するのかが見えないからね。
 
 たとえば、放映権料だ。今はJリーグが一括管理しているために、クラブの動きが制限されている。この状態のままだと、たとえ外資の資金によって魅力的なキャスティングを実現しても、クラブの判断で放映権を売れないんだ。ヨーロッパでは、放映権料を売って投資した資金を回収するビジネスモデルが確立しているけど、Jリーグではそれができない。見返りが期待できないところに投資する人はいないよね。
 
 Jリーグの停滞打破のためにアクションを起こすのはいいけど、小手先のアイデアばかりで本質を見失っているんじゃないかな。ヨーロッパのサッカークラブは、なぜ発展しているのか。そのシステムや構造を理解せずに、表面だけを取り繕っても意味がないよ。プレミアリーグのように外資を入れてリーグを活性化したいならば、リーグのシステムそのものも真似をして、いらない規約はとっぱらえばいいんだ。
 
 既得権益を手放すと、Jリーグ本部の儲けが少なくなってしまうかもしれない。ただ、それこそ発展の足かせになっている根本的な部分なのだから、メスを入れるべきだよ。
 アジアカップの前哨戦とも言えるオーストラリアとの一戦は、2-1で日本が勝利したね。オーストラリアが飛ばし気味にプレスをかけてきたために、立ち上がりの日本は後手に回った。
 
 でも、徐々に相手の運動量が落ち、後半は中盤にスペースができて日本ペースになった。その結果としてセットプレーから今野が先制点を決め、さらに森重のクロスから岡崎が追加点を挙げた。終了間際にケイヒルにゴールを奪われたのは課題だけど、結果を残したという意味では評価すべきだろうね。
 
 ただ、やっぱりアジアレベルを脱していない僅差の試合だったという印象も拭えないよ。オーストラリアは、かつてのような強いチームではなかった。若手に世代交代してメンバーを入れ替えようとしているところだし、戦術的にもロングボール主体からパスワークで崩すスタイルへ移行中だ。そのうえ、局面を打開するドリブラーも、流れを変えるスキルフルな選手もいない。決定的な仕事ができるのはケイヒルくらいで、小粒なタレントばかりだった。その相手に勝ったからといって、日本が強くなったと錯覚してはいけないよ。
 
 今回のオーストラリア戦には、ホンジュラス戦に続き、ベテラン勢を多く先発させた。この事実は、重く見るべきだろうね。アギーレ監督は就任以降、経験の浅い選手を数多く招集してテストしたけど、結局は失敗したと自分で言ったようなものだ。オーストラリア戦のスタメンは、ザッケローニ前監督が選んだブラジル・ワールドカップ時とほぼ同じ。つまり、彼らを上回る選手が出てこなかったんだよ。