もうこんな飲み会帰りたい! けれど言い出しにくい……

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そろそろ、年末が視野に入ってきましたね。仕事に、飲みに、より一層励んでいくシーズンであります。
……渋い顔をしている人がいるのですが。気持ちはわかります。確かに歓迎しない飲み会、多いですよね。最初から最後まで、「帰りたい」を心の中でずっと呟いてしまうような。しかし大人たるもの、グッと我慢の子。

というのは、今までの話。ちょっと耳寄りなサービスを発見したので、ご紹介しましょう。株式会社人間が10月16日にスタートさせたのは、その名も「帰りたい通知代理サービス『帰らせ屋』」であります。

これは、どういうサービスか。サイトに説明文が記されてあるので、それをそのまま引用しましょう。
「無駄な残業、慣れないカラオケ、終わらない飲み会……。あぁぁぁァァァァーーーーー……、帰ってテレビ見たい! そんな『帰りたいけど言い出せない』帰宅弱者に代わって、帰宅のプロ“帰らせ屋の私がメールでその気持ちを伝え、代弁します。その帰りたい気持ち、私が守ります!」

では、サービスの流れについて。まず帰りたいシーンを選んでください。つまり、帰れない今のシチュエーションのことです。選択肢は「飲み会」「残業」「合コン」「お見合い」など。
続いて、帰りたい理由を選択します。選択肢は「テレビがみたい」「妻/夫が愛おしい」「理由はこれから探す」「う●こを漏らした」などなど。
最後に、帰りたい度をチョイスしてください。選択肢は「今すぐ」「1時間後」「終電までに」「帰れたら帰りたい」「もう手遅れ」などなど……。
するとサイトの方で例文を作成、上司や幹事といったその場の“仕切り役”へ帰りたい旨を伝えるメールを送ってくれるのです。もちろん、名前を伏せて。

これ、項目を選択したら送付前にメールの確認ができるので、試しに私も文章を作ってもらいました。私が今年の暮れにも体験するであろうシチュエーションを選んでみます。「飲み会」「テレビがみたい」「今すぐ」を選択すると、以下のような文章が出来上がりました!

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この度は、こんな楽しい飲み会をセッティングして頂いてありがとうございます。私も飲み過ぎて、ちょっとこみ上げるものが、喉まで出かかってるんですが… 「帰りたい」その言葉を吐かせてください。
その帰りたい理由なんですが…とにかく“テレビが見たい”ということです。「テレビがつまらなくなった」とささやかれる昨今ですが、私はそうは思いません。テレビは今でも、最新の情報、最新の流行、最新のエンターテイメントを発信し、全国共通、全年齢の見られるメディアとして、お茶の間の家族団らんを支えてきた大事な文化です。(以下、略)
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意外に、しっかりした文面だな……。

さて。このサービスを企画したきっかけについて、同社に伺ってみました。
「僕もカラオケに行くと、『帰りたい』と思うことが多いんですが、言い出すタイミングが掴めないんですね。でもこういうメールが幹事に届くと『お開きにしよう』となるんじゃないかと、考案しました」(同社代表取締役・花岡さん)

ここで、振り返りましょう。皆さん、「鼻毛通知代理サービス チョロリ」ってご存じでしょうか? 鼻毛が出ている友人や知人に、その事実をメールで知らせることができる同サービスは2011年にスタート、大いに話題となりました。
「鼻毛の時、実はクレームが来たんです。メールを送られた側から『こんなん来たけど、何やっとんねん!』みたいな……」(花岡さん)
その反省を踏まえ、「帰らせ屋」には注意書きが記されている。「くれぐれも冗談の通じる相手に送りましょう。シャレにならない相手へ送信した時のトラブルに対して一切責任は負いません!」

とはいえ、100%シャレというわけでもない。
「上司って見てないようで見てるんですよね。こういうメールが来たら、配慮してくれる人って少なくないと思うんです」(花岡さん)
実用性も、有り。“シャレの通じる相手”なら直接伝えれば済むかもしれないが、自分の名前が伝わらないメリットが「帰らせ屋」にはある。
“シャレ半分”な印象を受け取りがちですが、帰宅弱者からの訴えはシリアスそのものです。
(寺西ジャジューカ)