新型デミオ、「ディーゼル復権」をリードできるか(画像は「マツダ デミオXD Touring L Package」。マツダのホームページより)

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マツダは主力の小型車「デミオ」を7年ぶりに全面改良した。従来のガソリン車に加え、ディーゼルエンジンを搭載したモデルも発売する。

かつて「環境に悪い」と敬遠されてきたディーゼル車だが、近年は技術革新が進み、環境性能が高い「クリーンディーゼル」として、欧州ではエコカーの「主役」になっている。国内ではハイブリッド車(HV)のシェアが圧倒的だが、マツダは新デミオをディーゼル復権の起爆剤にしたい考えだ。

軽油を使うので、日々の燃料代は安くつく

新デミオにはガソリン、ディーゼル、2WD、4WD、マニュアル(MT)、オートマ(AT)などさまざまなモデルがある。希望小売価格(税込み)は135万円〜219万2400円と幅広い。ガソリン車(2WD)は9月26日、ディーゼル車(同)は10月23日、4WD車は12月に発売を開始する。月間販売目標は5000台で、このうち5割をディーゼル車と見込む。

ディーゼル車(MT車)は、軽油1リットル当たり30キロと、HVと軽自動車を除き、国内最高の燃費を達成。排気量1.5リットルのAT車は、2.5リットルのガソリン車並みの力強さがある。ディーゼル車は178万2000円からと、ガソリン車の最安モデルに比べ43万2000円高いが、燃料に割安な軽油を使うので、日々の燃料代は安くつく。国からクリーンディーゼルを対象にした補助金も出る。

マツダは2012年2月以降、「CX−5」「アテンザ」「アクセラ」にディーゼル車を導入し、これまでの販売台数は10万台を超えた。2013年はディーゼルの国内乗用車販売のうち、マツダ車は6割を占める。今回初めて小型車にも導入、普及に弾みをつけたい考えだ。

クリーンディーゼルとして生まれ変わる

ディーゼルは1980年代、国内の新車販売のうち5〜6%を占めるなど一定の需要はあった。だが「黒煙をまき散らす」「音がうるさい」というデメリットがあったことも事実。環境規制の強化や、軽油とガソリンとの税格差縮小などの政策変更により、2000年代には一時市場から姿を消した。

この間、欧州では技術革新が進み、新しい燃料噴射システムなどが次々と開発された。粒子状物質(PM)の排出量を抑えることで、クリーンディーゼルとして生まれ変わり、欧州での乗用車販売のうち、半分以上はディーゼル車だ。BMWやメルセデス・ベンツなどのドイツ勢はディーゼル車を積極投入しており、BMWは「ミニ」のディーゼルモデルを今月から日本で発売している。

日本自動車工業会によると、2013年度のクリーンディーゼル乗用車の販売台数は7万8384台で、4年前の25倍に拡大。電気自動車(EV)1万5594台▽プラグインハイブリッド車(PHV)1万2972台を大幅に上回っている。だが101万5356台を販売したHVの8%弱に過ぎず、まだ普及途上にある。

国内メーカーではマツダのほかに、日産自動車や三菱自動車が一部車種でディーゼル車を販売しているのみ。トヨタ自動車は2015年末までに投入する方針で、デミオがヒットすれば、開発、販売競争が加速する可能性も秘めている。