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●1万5000人以上が働く亀尾工場発売が間近に迫っている、au 2014夏モデルの「isai FL LGL24」(LGエレクトロニクス製)。フルHDの1.8倍の解像度となるWQHD(2560×1440ドット)ディスプレイを搭載する、今夏の注目モデルのひとつだ。筆者は6月、その生産拠点のひとつであるLGディスプレイの「亀尾(クミ)工場」を訪ねた。

○工場内部の様子

LGディスプレイは、LGエレクトロニクスの子会社。LGグループの垂直統合の一環で設立された。韓国の中部に位置するこの亀尾工場では、スマートフォンをはじめとするモバイル製品向けのディスプレイを生産している。亀尾工場の敷地面積は25万坪で、1万5000人以上の従業員が働いているという。

見学したのはパネルの蒸着・カッティングを行う工程。工場内はオートメーション化が進んでおり、人の姿はまばら。全身を白の防塵服で覆った作業員が数名、目の前を行き来していた。

ディスプレイは振動に弱い。そのため移動する必要があるディスプレイのパネルは、1台あたり数千万円するという専用の台車に乗せられ、慎重に運ばれていた。部屋は作業工程ごとに細かく分けられている様子。部屋を出入りする作業員は、コンプレッサーのようなもので身体についた埃を念入りに飛ばしていた。

工場で製造されるパネルは、大きさの違いによりP1、P2、…という名称で区別される。スマートフォンにはP4(1000×1200mm)サイズのパネルをカットして使っているという。関係者は「パネルの原盤を効率良く切ることが重要」と説明した。液晶パネルの歩留まり(良品率)は90%以上。つまり1割弱は不良品で廃棄されてしまう計算だ。これはパネルのサイズに関係しないという。有機ELパネルに関しては、さらに歩留まりが悪い。しかし技術の進歩により、ここ数年は改善してきているとのこと。関係者は「2016年頃には有機ELパネルの生産も安定する。値段も落ち着くのではないか」と話していた。

●4Kテレビが展示されていたショールーム○ショールームの様子

ショールームでは、様々な新製品の展示が行われていた。はじめに目についたのは、発売前の4Kテレビ「105型Curved UHD」と「98型UHD」。韓国国内では、すでに4Kテレビの需要が高まりつつあるという。昨年の出荷台数は90万〜100万台だったが、今年はその10倍となる1000万台の需要が見込めるとのこと。関係者は「3Dテレビはコンテンツ不足もあり不調だった。その反省点を活かして、4Kではテレビの販売とともにコンテンツの供給にも力を入れていく」と話す。テレビ局の4K放送を軸に、業界をあげて4Kテレビで楽しめるコンテンツを充足させていく考えだという。

透過型のディスプレイと冷蔵庫を組み合わせたユニークな製品も展示されていた。広告も冷蔵庫の中身も見せることができるのが特長。すでに商品化されており、韓国の街中に設置されているという。関係者は「この技術を利用すれば、将来、アパートの窓にテレビを映すこともできる」と話していた。

見る角度によって異なる映像を表示できる「トリプルビューディスプレイ」は、空港や博物館などでインフォメーションを展示する用途が考えられている。モバイル向けにも製品化を検討。例えばカーナビゲーションシステムに応用すれば、運転席、助手席、後部座席に最適化した画面を表示できるという。

スマートフォン向けのディスプレイも複数展示されていた。中でも来場者の注目を集めていたのが、6インチQHDディスプレイ。高解像度のため、極小サイズの文字も潰れずに読むことができた。ちなみにau 2014年夏モデルのisai FL LGL24は、この展示物を超える高解像度を誇る端末だ。世界最高水準のピクセル密度538ppiを備える端末では、どんな楽しみ方ができるのだろうか。現地で展示物を見ながら、7月中旬に控えるisai FLの発売日が待ち遠しくなってしまった。

(記事提供:AndroWire編集部)

(近藤謙太郎)