英国外務省は日本への渡航者向けに、「ヘイトスピーチデモ」について注意喚起した(画像は、「英国外務省」のホームページ)

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英国外務省がホームページで、日本への渡航者に、「ヘイトスピーチ(憎悪表現)デモ」に気をつけるよう、注意喚起している。

日本はテロの危険性が少なく、夜間の外出も比較的安全だが、「pro-nationalist」による過激なデモ活動が稀に起っているとの情報を提供している。

日本人は排他的な民族に見えている?

英国外務省のHPでは、日本への渡航者に向けたアドバイスとして、「Safety and security」(安全と保安)の項目で、犯罪や「Fukushima」の状況などについて説明している。「ヘイトスピーチデモ」については、「Political situation」(政情不安)の情報として取り上げており、「日本はしっかりした民主主義のある国ですが、暴動や過激なデモ活動が稀にあります。時折、民族主義者による、外国人に敵意を向けるデモが起こっており、身の安全を確保するための情報を入手して、デモに遭遇したらすぐにその場所を離れてください」と、アドバイスしている。

これに対し、インターネットの書き込みでは「ネトウヨが日本の治安悪化の原因」「(外国人に)敵意むき出し」などと煽りぎみの文字が見られる。

原文には「Hate Speech」とは書かれておらず、いたって淡々と伝えているだけだが、文脈から、2013年に日本で社会問題化した「ヘイトスピーチデモ」をさしていることは想像できる。

ヘイトスピーチ」は13年5月には国会でも取り上げられ、さらには国連の場でも議論となった。英国人が日本でデモに遭遇したからといって、なにか危害が加えられることも考えにくいが、「朝鮮人は日本から出ていけ」、なかには「殺せ」などという過激な罵倒や挑発の言葉を見聞きして、なにやら日本人は外国人に対して排他的な民族であるかのように映っているのかもしれない。

海外は「ヘイトスピーチ」に厳しい

竹島問題などで日韓関係が悪化していることが背景にあるとはいえ、「ヘイトスピーチデモ」が、日に日にエスカレートしていったことは確かだ。過激なデモや集会のようすはネット動画を通じて発信され、差別感情を煽り立てることで支持者を増やす一方、「しばき隊」なども登場し、逆に反発を強める動きも広がった。

当時、欧米などの海外メディアが本国で大きく取り上げることはなかったようだが、もともと諸外国にはこうしたヘイトスピーチや差別に対する法規制があるし、人種や民族、宗教をおとしめたり、それらへの差別を煽ったりする行為に対する目は厳しい。

日本人は「礼儀正しい民族」として知られていただけに、韓国人や朝鮮人を敵視し罵倒する姿に、東京の英国大使館も驚いて本国に「注意喚起」していたのかもしれない。