ルーツは41年前…大物芸能人 vs テレビ局「出禁」の裏事情
先日、明石家さんまがラジオ番組で「NHKとテレビ東京はこっちから出入り禁止!」と暴露し話題になっている。
'84年、深夜番組の『さんまのサタデーナイトショー』は当時、テレ東の全番組でトップの視聴率を叩き出していた。だが、“お色気番組は、日本経済新聞社が出資する局のイメージとしてよくない”という理由で打ち切りに。以来、オファーもこないという。また、中村勘三郎からの依頼で'99年のNHK大河ドラマ『元禄撩乱』の撮影に参加したが、出演シーンが全カットされ、さんまの方から出禁にしているそうだ。
そもそも、いつから芸能界とテレビ局の間に“出禁”という概念が生まれたのか。芸能評論家の比留間正明氏はルーツをこう話す。
「大事件といえば、'73年の『日本テレビvs.渡辺プロダクション』でしょう。日テレの『紅白歌のベストテン』の裏番組として、ナベプロがNETテレビ(現・テレビ朝日)で新人発掘の歌番組をスタートさせようとした。ナベプロは『そちらが時間帯を変えればいい』と強硬姿勢に出たため、当時の制作局次長が『もうおたくの歌手はいらない。その代わり、やらせてあげようと思っていた枠もあげない』と激怒した」
このとき日テレが用意していた“ナベプロ予定枠”が『金曜10時!うわさのチャンネル!!』('73年開始)だった。ナベプロ所属ではない和田アキ子やせんだみつお、ザ・デストロイヤーなどが出演し、過激な演出で視聴率30%を稼ぎ出した。
「じつは'79年、この番組に出ていた和田アキ子が日本テレビを出禁に。本人いわく『苦手な動物が出てくるコーナーで毎回叫んでしまうため、あくる日の歌の仕事で声が出ない。歌手なのに……と自問自答した』。結果、自ら降板を志願したのが原因」(日テレ関係者)
テレビ東京も視聴率男に大ナタを振るったことがある。'77年、お色気深夜番組『独占!男の時間』で司会を務めていた山城新伍は、最終回で「(局の上層部は)『男の時間』のハダカは低俗だというが、ハダカに高級も低級もあるものか」と挑発。すると、テレ東は山城に「映画解説の話はなかったことにしよう」と通達し、すでに収録の終わっていた『木曜洋画劇場』の解説をクビにしたのだ。
この最終回では、当時まだ若手だった笑福亭鶴瓶が局部を露出し、テレ東から出禁を食らっている。ちなみに、山城とテレ東の戦争は7年半続いた後、『結婚!志願ショー』の司会をまかされることで終結。鶴瓶は'03年に『きらきらアフロ』でレギュラー出演することで、26年の封印が解かれている。
かつてフジテレビの局アナとして活躍し、現在はフリーで活躍する長谷川豊氏は、3つのポイントを挙げながら「出禁」の実態を次のように語る。
「まず、出入り禁止の多くは、テレビ局の“自主規制”が大きく関わっています。1つめは、生放送で過激な発言をする人。言った本人もそうですが、最終的には番組側の責任になるので、事後処理を面倒くさがって、以降は出演できなくなる傾向があります。2つめは、テレビ業界の収益構造や原発問題に絡めてスポンサー名まで出して批判する人。山本太郎さんは、これに該当して完全に“危険人物”として、出入り禁止になったと思います。3つめは、局自体を批判すること。3年前、ツイッターでフジテレビを批判した高岡蒼甫(現・奏輔)もダメですね」
テレビ局が大物タレントに「出禁認定」を下していた昭和の時代と比べて、最近は真逆の現象が強く見受けられる。それは、芸能人の顔色ばかり窺うようになったテレビ局を象徴する傾向なのかもしれないーー。
(週刊FLASH 2月18日号)
'84年、深夜番組の『さんまのサタデーナイトショー』は当時、テレ東の全番組でトップの視聴率を叩き出していた。だが、“お色気番組は、日本経済新聞社が出資する局のイメージとしてよくない”という理由で打ち切りに。以来、オファーもこないという。また、中村勘三郎からの依頼で'99年のNHK大河ドラマ『元禄撩乱』の撮影に参加したが、出演シーンが全カットされ、さんまの方から出禁にしているそうだ。
「大事件といえば、'73年の『日本テレビvs.渡辺プロダクション』でしょう。日テレの『紅白歌のベストテン』の裏番組として、ナベプロがNETテレビ(現・テレビ朝日)で新人発掘の歌番組をスタートさせようとした。ナベプロは『そちらが時間帯を変えればいい』と強硬姿勢に出たため、当時の制作局次長が『もうおたくの歌手はいらない。その代わり、やらせてあげようと思っていた枠もあげない』と激怒した」
このとき日テレが用意していた“ナベプロ予定枠”が『金曜10時!うわさのチャンネル!!』('73年開始)だった。ナベプロ所属ではない和田アキ子やせんだみつお、ザ・デストロイヤーなどが出演し、過激な演出で視聴率30%を稼ぎ出した。
「じつは'79年、この番組に出ていた和田アキ子が日本テレビを出禁に。本人いわく『苦手な動物が出てくるコーナーで毎回叫んでしまうため、あくる日の歌の仕事で声が出ない。歌手なのに……と自問自答した』。結果、自ら降板を志願したのが原因」(日テレ関係者)
テレビ東京も視聴率男に大ナタを振るったことがある。'77年、お色気深夜番組『独占!男の時間』で司会を務めていた山城新伍は、最終回で「(局の上層部は)『男の時間』のハダカは低俗だというが、ハダカに高級も低級もあるものか」と挑発。すると、テレ東は山城に「映画解説の話はなかったことにしよう」と通達し、すでに収録の終わっていた『木曜洋画劇場』の解説をクビにしたのだ。
この最終回では、当時まだ若手だった笑福亭鶴瓶が局部を露出し、テレ東から出禁を食らっている。ちなみに、山城とテレ東の戦争は7年半続いた後、『結婚!志願ショー』の司会をまかされることで終結。鶴瓶は'03年に『きらきらアフロ』でレギュラー出演することで、26年の封印が解かれている。
かつてフジテレビの局アナとして活躍し、現在はフリーで活躍する長谷川豊氏は、3つのポイントを挙げながら「出禁」の実態を次のように語る。
「まず、出入り禁止の多くは、テレビ局の“自主規制”が大きく関わっています。1つめは、生放送で過激な発言をする人。言った本人もそうですが、最終的には番組側の責任になるので、事後処理を面倒くさがって、以降は出演できなくなる傾向があります。2つめは、テレビ業界の収益構造や原発問題に絡めてスポンサー名まで出して批判する人。山本太郎さんは、これに該当して完全に“危険人物”として、出入り禁止になったと思います。3つめは、局自体を批判すること。3年前、ツイッターでフジテレビを批判した高岡蒼甫(現・奏輔)もダメですね」
テレビ局が大物タレントに「出禁認定」を下していた昭和の時代と比べて、最近は真逆の現象が強く見受けられる。それは、芸能人の顔色ばかり窺うようになったテレビ局を象徴する傾向なのかもしれないーー。
(週刊FLASH 2月18日号)