フランスの著名紙に掲載された東京五輪と原発事故を関連づけた風刺画が、日本でも紹介され波紋をひろげているが、2013年9月13日放送の情報番組「とくダネ!」(フジテレビ系)でもこのニュースが取り上げられた。

放送を見た視聴者からは怒りの声が多く上がった。それは絵に対してではなく放送内容に対してだった。

何が書いてあるか丁寧に解説したボードを見せる

フランスの最古の週刊紙の1つ「カナール・アンシェネ」13年9月11日付の記事で、「手が3本ある人物と足が3本ある人物とが土俵上で向かい合い、レポーターが『福島のおかげで相撲が五輪種目になった!』と言っている」「放射線マーク入りの防護服姿の人物2人が線量計を持ってプールサイドに立ち、『五輪の水泳プールはすでに福島にできている』と書かれている」という2枚の風刺画が掲載された。

これをとくダネ!が紹介したが、司会の小倉智昭さんは「非常に日本人にとっては嫌な、おぞましい絵」と不快感をあらわにした。「もしも福島の人がこのマンガを見たら、どんな風に思うでしょうか」と言うと、福島県で通行人に風刺画の感想を聞く映像に切り替わった。

レポーターから、問題の風刺画と、何が書いてあるかを丁寧に解説したボードを見せられた福島県民は「へぇー…ちょっと考えられないね」「こういうのを描いて誤解されて、またもっと悪く思われたりするのがちょっと…もう悲しいしか言えないですね」と肩を落としていた。

「これ見たら被災者は傷つきますよ!」小倉憤る

菅義偉官房長官は13年9月12日、「このような風刺画は東日本大震災で被災した方々の気持ちを傷つけ、福島第1原発における汚染水問題について誤った印象を与える不適切な報道であって、大変遺憾」とし、カナール・アンシェネ紙に対して抗議を行った。しかし同紙の編集長は「被災地の人を傷つける意図はなかった」として、謝罪のつもりはないと話している。

このことについても小倉さんは、「被災者を傷つける意図はなかったと言われても、これ見たら被災者は傷つきますよ!」と憤っていた。

風刺画を批判的に見た内容だったが、怒りを覚えた視聴者もいたようだ。

「もし見たらどうなるか?って見せなければ見ないわけだが・・・・」
「インタビューとってるフジも同罪だろ」
「風刺画を福島にもってって被災地の人たちにみせて『この絵をみてどう思いますか』って質問する日本人もなかなかえげつないよね」
「フランスの風刺画なんて、日本にいるだけなら見る機会も少ない。それをわざわざ放送して、しかも反応を撮るためにわざわざ福島の人に絵を見せてインタビューして、あんたらも相当おかしい事してると思うよ。胸くそ悪い」

など、ネット上では「わざわざ見せに行くなよ」という書き込みが相次いだ。