幼稚園児の子どもがいるという中国人女性の豆腐滓(ハンドルネーム)さんは、幼稚園の先生による初めての家庭訪問に戸惑いをみせながらも、先生を迎えるにあたって行った周到な準備をブログで紹介した。

 幼稚園の新学期が始まって早々に「家庭訪問」のお知らせを受け取ったという筆者。中国にはそうした習慣がないために相当驚いたらしいが、さらに驚いたのは「親と先生が玄関で10分ほど話し合う」という取り決め。中国では客を玄関で話すだけで帰らせるなど考えられないことだからだ。日本と中国の先生と生徒の関係にまつわる違いについて、筆者はブログに綴っている。

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 筆者はそもそも「家庭訪問」という行事の意味が分からかったという。先生に贈り物を手渡して自分の子どもに対する待遇を良くしてもらうためか、それとも先生が家の経済状況などをこっそり観察し、教育方針を決定するためなのかと、いろいろ悩んだようだ。

 結局、筆者の夫が園長に連絡し、「贈り物は一切受け取らないこと、玄関で話すのは先生と父兄双方の負担を軽減するため」と説明を受けたようだが、やはり中国人としては玄関での立ち話だけで帰らせるなんてできないということになったらしい。

 ついに先生が筆者の自宅へ。初めての家庭訪問ということで、筆者も緊張していたらしいが、まずは先生に中国の習慣を説明し、家の中へと上がってもらったという。先生も快く理解してくれたようで、40分ほど話すことができ、最後に贈り物を手渡すと先生はとても喜んで受け取ってくれたという。

 家庭訪問の翌日、子どもが持ち帰った連絡ノートには筆者から受けたもてなしに対する感謝の言葉が記されていたらしい。また贈り物は「園長先生に確認し、頂いても良いと判断されたため大切に使わせていただきます」と記されていたという。

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 筆者は自分の準備が報われたことを喜ぶとともに、先生が贈り物についても園長に報告していることに感心したようで、日本人は賄賂(わいろ)を受け取らないため、秩序ある社会が存在していると改めて感動したそうだ。

 中国には基本的に家庭訪問という行事が存在せず、ほかにも日本と違うのは中国には毎年9月10日に教師への感謝と尊敬を表す「教師節(教師の日)」があるという点だ。

 「教師節」には子を持つ親が教師に贈り物をする風習があり、贈り物の高額化が進んでいるほか、個別に金銭や物を要求する教師や、職権を利用して賄賂を求める教師などもいるという。(編集担当:畠山栄)