『積木くずし』が出版されてから30年。約300万部のベストセラーとなり一躍時の人となった、作者・穂積隆信。しかし、その後も彼の身に起き続けている、まるで小説のようなさまざまな事件の真相が赤裸々に語られた。

俳優であり『積木くずし』の著者、穂積隆信が『大竹まこと ゴールデンラジオ』に出演した。新刊『積木くずし 最終章』を紹介するとともに、子供の非行で悩む親に向けて実体験からのアドバイスを送った。

今から30年前、俳優・穂積隆信が不良少女となった実娘・由香里さんとの200日間の葛藤を描いた作品『積木くずし』を執筆し、約300万部のベストセラーとなった。本の中では特に、非行の相談に行った警視庁少年相談室の竹江孝氏からのアドバイスが印象深い。竹江氏から子供を非行から守るためのいくつかの心構えが紹介されている。その中でも「子どもと話し合いをしてはいけない」というのが意表を突かれる。穂積も、このアドバイスが「今までの子供との接し方とまるで違うものだった」という。彼はこのアドバイスの数々を実践し、自らも「じっと、子供が親に声を掛けてくるまで待つ心が大切だと実感した」と語る。その後、実際に愛情と規則を忠実に守ったことで娘さんは戻ってきた。『積木くずし』はここまでの話が書かれており、由香里さんは更生、この物語の副題である「親と子の二百日戦争」は終結しハッピーエンドのように思われた。

しかし、穂積一家の小説のような物語には続きがあったのだ。この本が売れ、印税で何億というお金が入ってきたことにより、一家の人生は再度狂わされてしまう。穂積はその時の心のうちを「由香里がまた非行に戻るのが怖かった」と表す。今度は大金が舞い込んできたことで、今まで無かったお小遣いを与え、娘を甘やかし、最後には親の信頼そのものが揺らいできてしまった。また、自らの更生の過程を赤裸々にさらけ出し書籍化した親への不信感もあったのであろう。由香里さんは、親に対する“闘争心”を再度抱き、また非行へと戻っていくのだ。その後も、突然の由香里さんの死や妻の浮気、そして妻の死など『積木くずし』によって翻弄されていく彼の悪夢は今なお終わらないようだった。

現在、穂積は「自分がすべて悪かった」と反省の日々だと明かした。この書籍が出版されてから30年。時代背景やモラルのありかたは変化を見せている。父親としての穂積へは賛否両論あるだろうが、親が子供にどう接していけばいいのか、“家族”を見つめなおすきっかけになることは間違いない。
(TechinsightJapan編集部 佐々木直まる)