〜高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ〜
1980年〜90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者のドロドロの商社マン生活の実体験をベースに、小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。


第二章 一人前への長い道のり




「それでは質問です。関が目をつけたニーズとはいったい何だった
でしょう?」


宮田と森永は目を合わせた。


宮田が恐る恐る言った。


「えーと、ジュースなんかの清涼飲料水やビールに、管理やリサイ
クルが難しいガラスが使われなくなってきたという世の中の状況が
あったりとか。  あとは、とはいっても鉄なんかは錆びやす
かったり、運ぶのに重かったり、リサイクルしにくいという状況
があったのだと思います」


「ご名答」


< 何やねんな。 その「ご名答」て。 アタック25の児玉清
  かいな。  あんたは >


とは言うものの宮田は、自分の発言に対して,会社に入って、社会
人になって初めてほめられたので、内心秘かにうれしかった。


「そうだね。世の中が環境問題や健康問題にナーバスになってきて、
環境や健康にやさしくクリーンなイメージを持つアルミニウムを
必要とする社会的背景が整いつつあるという状況だね。

いかに総合商社といえども、このニーズを直接満たすことや、
作り出したりすることは出来ない。 だけど、このニーズを明確
にし、ウォンツに影響を与えていくことは商社にだってできるんだ。

関は、このニーズを他の代替品の中からアルミニウムを選択する
ようにイノベータ(革新者)に働きかけたのだ。

この辺りからマーケティング戦略ということになるかな」


< マーケティング戦略ねー・・・。 何かめんどくさいな・・>


柴田は続けた。

「アルミニウムが欲しいというウォンツをイノベータに植え付ける
ことに成功した。 

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