フェーズ6になったことで、コンサルティング会社やIT企業が対策ツールの提供に積極的になっていますが、ベースのノウハウが間違っていると、ユーザーは多大な移行プロセスの障害とコスト負担、そして社内の混乱を背負うことになります。

パンデミック対策の切り札として目されている「在宅勤務」ですが、これは元々「鳥インフルエンザ」によるパンデミック発生時に、厚生労働省が「8週間の自宅待機」を推奨しているところから、その根拠が生まれています。

この自宅待機中に在宅勤務を行う背景には、企業の完全休業では売上も立たず、社員の休業に対して休業補償を払って耐えしのぐという考え方では、何ヶ月続くか分からないパンデミックに対抗できませんから、少しずつでも経済活動を維持できるようにするという目的の一つの形として「在宅勤務」が考えられているだけのことなのです。

実務面から考えた場合、在宅勤務は最終手段ではありません。
社内全員が在宅勤務という状況は難しく、特に上場企業であれば、2009年からの金融商品取引法対応のために内部統制を強化したばかりですから、決裁そのものや決裁システム、各種システムに対するアクセスコントロールなど業務遂行に関しては様々な制約を受けることになります。

例えば、全社員が在宅勤務になった場合でも、本来社外には持ち出してはいけない情報資産が沢山あるはずです。機密情報や個人情報が社員一人一人のPCに格納されて公共の交通機関の中を行き来するとか、重要な決裁がPCだけで行われて、根拠となる書類や契約書を個人が持ち歩いているなんていうことは、いくら危機対応とはいえ、あり得ないのです。

また、厚生労働省では、在宅勤務における労務管理について以下のような指針を出しています。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/03/h0305-1.html


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