最後まで観てよかった春ドラマ3選。 “佐藤二朗×橋本愛”のバディも最高だったけど、圧倒的完成度のNo.1ドラマは
※本記事は作品のネタバレを含みます。
◆夫婦別姓刑事
まず“最後まで観てこそ”の面白さが際立ったのは、佐藤二朗と橋本愛がW主演を務めた『夫婦別姓刑事』(フジテレビ系)。職場では同僚刑事として振る舞う四方田誠(佐藤二朗)と鈴木明日香(橋本愛)が、実は夫婦であることを隠しながら事件に挑むバディもの刑事ドラマです。
◆佐藤二朗×橋本愛の緩急が支えた“最後まで観る”面白さ
本作最大の勝因は、主演である佐藤と橋本の圧倒的な演技の振り幅にあります。実力派であることは言うまでもありませんが、夫婦であり、刑事であり、親でもある。その複雑な関係性を、ふたりはコメディのテンポとシリアスな感情表現で見事に魅せてくれました。
とくに終盤、四方田が娘の罪と向き合わざるを得なくなる場面での佐藤の演技は圧巻。いつもの飄々とした空気を完全に消し、父として、刑事として、逃げ場のない現実を受け止める姿に息を呑みました。居間に時計の音が響き、時間だけが淡々と進んでいくなかで、言葉にできない痛みが積もっていく描写は、考察ミステリーとしてだけでなく、家族の物語としても見応え十分でした。
ずっと疑いの目を向けられていた喜多村役の竹原ピストル、最終回で黒幕としての狂気を見せた矢本悠馬も鮮烈。放送前の違和感すらも推進力に変えた、見事なエンタメドラマでした。
◆エラー
次に挙げたいのは、W主演の畑芽育と志田未来の繊細な芝居が光った『エラー』(ABCテレビ制作・テレビ朝日系)。とある女性を死なせてしまった中田ユメ(畑芽育)と、その死によって生きる意欲を失った女性の娘・大迫未央(志田未来)が、真実を知らないまま友情を育んでいくヒューマンサスペンスです。加害者と被害者遺族という、本来交わるはずのないふたりを出会わせることで、取り返しのつかない過ちと“赦し”の難しさを浮き彫りにしました。
◆人間の弱さと醜さを描きながら、誰かだけを悪者にしない緊迫劇
本作は、第1話から引き込む力が強烈でした。ユメが未央の母・美郷(榊原郁恵)の死に関与していたことが明かされ、第2話ではユメの恋人・佐久間健司(藤井流星)が既婚者だったことも判明。毎話のラストに突きつけられる事実が重く、観る側の心も容赦なくかき乱してきます。
しかし、単にショッキングな展開で引っ張るだけのドラマではありません。真髄は、罪悪感と友情、後悔と依存、怒りと救いが入り混じる「人間の感情」を深く描いている点にあります。
ユメの行為は簡単に許されるものではありませんが、彼女の生きづらさを知るほどに完全に突き放すこともできない。未央もまた、怒りや喪失感を抱えながら、ユメと過ごす時間に少しずつ救われていく。その危うい関係性は、表現力の高い畑と志田のふたりでなければ成立しなかったでしょう。
そして何より印象的だったのは、登場人物の誰かひとりを単純に断罪しない脚本です。人はなぜ間違えるのか。間違えたあと、どう生きていくのか。話題作『3000万』(NHK総合)の脚本チームにも参加していた弥重早希子氏の脚本は、目を背けたくなるような人間の弱さや醜さを描きながらも、安易な断罪には流れません。だからこそ、観る者の感情を深く抉りながらも見入ってしまう一作だったのだと思います。

