アーセナルのアーセン・ベンゲル監督は、代表レベルのサッカーを「つまらない」と語り、イングランド代表の強化にアーセナルが貢献していないという批判に徹底反論した。

 アカデミーにおける若手育成に定評があるアーセナルは、将来有望な外国人選手の獲得にも積極的だ。その結果、トップチームのスタメンにイングランド人選手が一人も名を連ねないケースもあり、「イングランド代表の強化に繋がらない」といった批判の声も少なくない。7日のスペイン戦でイングランドが敗れた直後には、ミドルスブラのスティーブ・ギブソン会長が「代表にまったく貢献していない」として、アーセナルを名指しで批判している。しかし、ベンゲルはこの論調に大きな違和感を抱いているようだ。

「我々はアカデミーに巨額の投資を行なっており、イングランド人以外の選手が多く在籍するのも事実だ。しかし、国籍で選手を選んでいるわけではない。すべては能力次第だ。だから、イングランドが負けるたびに、私の責任にされても困る。実力の伴わない選手を起用しても、代表の強化には繋がらないし、アーセナルのチーム力を下げることにもなりかねない。イングランドがブラジルに勝ちたいなら、アーセナルに所属するイングランド人選手が、ブラジル人選手からポジションを奪うことだ」

 さらにベンゲルは、イングランド・サッカー界が抱えるジレンマを鋭く追及する。

「私に言わせれば、代表レベルのサッカーはつまらない。試合のクオリティだけを比較すれば、クラブチームのサッカーが数段上だ。そもそも、イングランドでは、代表チームに対する期待度が高すぎるんだ。ワールドカップに出場するたびに、優勝を求められるのだからね。2月の時点でスペインに敗れたからといって、深刻になる必要があるだろうか? 時には負けることもある。それを受け入れなければ悪循環は続くだろう」

 外国人選手の出場枠設定など、能力以外で選手の出場機会を縛る動きには、徹底的に反論してきたベンゲル。完全実力主義を貫く知将は、アーセナルの多国籍化を批判する“過保護”な声に、今後も反論を続けるだろう。