ACミランは同クラブのブラジル代表MFカカーの移籍についてレアル・マドリーと交渉に入る準備ができており、ベンチの強化を図るACミランはこの交渉で金銭オファーよりもレアル・マドリーの選手を引き抜くことを優先している、と9日付けのスペイン紙“アス”が報じている。

 ACミランはこれまで“カカーは移籍させない”という方針を貫いてきているが、ここへきてその姿勢を軟化。この冬の移籍マーケットでのロナウドのACミラン移籍について1月末に交渉を行った際に、ACミランのガリアーニ会長はレアル・マドリーに対し「カカーの売却は不可能ではない」と伝えた模様。そして、ベンチの強化を狙うACミランは金銭面でのオファーよりもDFカンナバーロ、FWロビーニョ、MFディアラの3選手の譲渡を望んでいるという。

 カカー獲得の扉が初めて開かれたという形になるが、これはACミランのベルルスコーニ会長の“夢”であるバルセロナのロナウジーニョ獲得が関係しているとも言える。ロナウジーニョの兄で代理人のロベルト・デ・アシス氏がACミランにOKを出したとも言われており、来シーズンに向けロナウジーニョを獲得するという同会長の意図が働いていると言えそうだ。ロナウジーニョとカカーではロナウジーニョに軍配が上がるということはベルルスコーニに会長の言動から見てとれる。

 ACミランがロビーニョやカンナバーロに関心を示すのはこれが初めてではない。ロビーニョについてはロナウドの移籍交渉の際にも打診していたが、あえあく拒否され、カンナバーロについてはユベントスが2部降格した際、獲得に動いていた。また、ディアラについては昨シーズンのチャンピオンズリーグ準々決勝でのオリンピック・リヨンとの対戦でそのポテンシャルに注目していたという。

 カンナバーロ、ロビーニョ、ディアラの3選手の評価額が合計で7000万ユーロ(約110億円)であると言われていることからも、レアル・マドリーにとってはそれほど悪くない条件だ。今シーズンの活躍から見てレアル・マドリーがカンナバーロとロビーニョをACミランに差し出すことは問題ないように思えるが、未だ本領発揮とはいかないながらも、そのポテンシャルに多大な期待を寄せるディアラは差し出したくないと考えられる。

 カカー獲得を熱望するカルデロン会長にとってその夢が一歩前進したという形とはなったが、すんなり交渉がまとまるとは考えにくい。カカー移籍交渉を成功させるためにしっかり準備できるかがポイントとなる。そのスタートが今切られた。

(スペイン通信)