今週末からの再開が正式決定されたセリエA。カターニャでの悲劇を重く見た政府は安全基準に達しないスタジアムを無観客にすることを条件にゴーサインを出したが、関係者からは疑問の声も挙がっている。ACミランのベテランFWフィリッポ・インザーギ(33)が7日、「サポーターなしのカルチョはありえない」と訴えた。

電子認証式回転ドア、警官・警備員の詰め所・管理室、人員整理面で安全基準に達していないサンシーロ・スタジアムをホームとするACミランとインテル。85700人収容、イタリア最大を誇るカルチョの殿堂サンシーロでの無観客試合に対し、ベテランFWが嘆きの声を漏らした。インザーギは「この悲劇を忘れてはならないが・・・」と前置きした上で「真のサポーターはカターニャでの悲劇となんら関係がない。サンシーロが空っぽになるなんて寂し過ぎる。サポーターなしのカルチョなんてありえない。早急に問題を解決すべきだ」と選手の声を代弁した。

2日に行われたセリエA第22節カターニャ対パレルモ戦後のウルトラス(過激サポーター)の暴動により、警備中の警官が死亡する“カターニャの悲劇”。当初は“サポーター間のトラブル”が招いた事件と見られていたが、時間の経過と共に対立構造は“ウルトラス対警察”に変移。現在ACミランとインテルはサンシーロの安全向上をスローガンに、一致団結して取り組む姿勢を打ち出している。「純粋なサポーターはこの事件に全く関係がない」と言い切ったインザーギ。スペクタクルな試合はサポーターの存在無くして成立しない。

佐藤 貴洋