チェコ代表のストライカー、ミラン・バロシュをアストン・ヴィラから獲得し、故障者が相次ぐ攻撃陣に重要なコマを加えたリヨン。

 リバプール時代の監督だったウリエ監督ほか、チアゴ(ポルトガル代表、元チェルシー)、シェルストローム(スウェーデン代表)、ヴィルトール(元アーセナル)ら英語を話す選手が何人かおり、コミュケーションの問題はあまりないとされる。

 攻撃陣の一角を争うことになるシドニー・ゴブーも英語のレッスンをはじめたと伝えられる。もっともこれはバロシュ歓迎のためというより、自身の将来を見据えた準備である可能性は大きい。ゴブーはバロシュについて「ユース時代に2度対戦した。悪い思い出が残っている。欧州選手権の決勝ではチェコに敗れたからね」と語る。「悪い思い出」はもちろん敵に回したときのこと。「チームのために努力する献身的な選手。集団に溶け込むだろう」とライバルの加入も肯定的にとらえている。

 ゴブーは「1.5列目」の選手で、最前線のバロシュと直接ポジションは重ならない。本人も「(フレッヂに次ぐ)2人目のフォワード」とバロシュを見ている。ただし、2トップという選択の可能性もあり、そうなると2列目はマルダ、ジュニーニョ。ゴブーの出場機会は減るおそれがあるが、「相手と状況によって戦術を変えられ、切り札になり得る」とあくまでチームの視点で冷静に構えている。

 ウリエ監督もあくまで「2人目のフォワード」という考え。フレッヂにもそう説明してあるという。しかし、オーウェンとセットで使ったリバプール時代が頭をよぎることもあるようだ。

 バロシュの加入は、攻撃陣の故障をカバーしただけでなく、戦術的な選択の幅を広げる可能性にもつながった。ベンゼマがケガから予定より早く復帰するとの情報もあり、ひとまず攻撃陣のコマ不足というピンチは脱した感がある。あとはもちろん、バロシュの実戦での働きにかかっている。