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動物の痛みがAIでわかれば、人間も動物も幸せになるかも。

動物の痛みや感情が知れたらって思うことありますよね。当たり前ですが動物は話すことができないので、痛みのサインはじっくり察知するしかありません。

例えば鳴き声をあげるとか、ごはんを食べなくなったりするなどです。でも、実際動物がどれくらいの痛みを感じているかを測定することは難しく、主観的な判断となってしまいます。動物が苦痛を感じているかどうかを判断するには獣医師など、何十年もの経験が必要となります。

AIの得意分野を活かす

AIは欠点もありますが、パターン認識の分野では優れた性能を発揮します。ChatGPTは基本的に、多くの例文を精査して論理的な文章を生成することが得意です。Googleレンズに猫の画像を入力すると、猫の特徴をすべて抽出して、何百万もの類似画像を見つけてくれます。

そして現在、科学者たちが同じ考え方を動物の表情から痛みを認識することに応用できるのではないかと考えているのです。獣医師たちが何十年もかけて蓄積してきた動物の痛みの表情を判断するという経験をAIアルゴリズムに取り込むことで、(動物を扱う)畜産農家向けに、このプロセスを自動化できる可能性がありそうだとのことです。この技術は最終的に、特に幼い子供など、言葉で表現できない患者にも応用できる可能性があります。

Phys.orgに掲載されたフロリダ大学獣医学部の研究報告によると、研究チームはヤギに焦点を当て、痛みを感じているヤギと快適な状態のヤギを含む40匹の表情を撮影し、そしてそのデータを人工知能モデルに入力し、表情だけで痛みを区別することを学習させたとのことです。

画像で痛みを検出

このアルゴリズムが動物の表情から痛みを読み取る精度は、現在のところ62%〜80%。さらに精度を向上させるにはもっとデータが必要となってきます、言葉で表現できない患者の痛みを、直感に頼ることなく、より簡単に検出できるようになれば、臨床医にとって大きな意味を持つようになると考えられています。

動物も人間もWin-Win

「これは単なる動物の心身の幸せに関する問題ではありません。痛みを感じている動物は体重が増えず、生産性も低下することが分かっています」とフロリダ大学獣医学部のLudovica Chiavaccini准教授は述べています。農家のみなさんが一頭一頭を手作業で判断したり、深刻な状況になる前に、動物の痛みが即座に判定できるモバイル機器プログラムを使用することで、多くのヤギを素早く評価し、どのヤギがしっかりとした診察を必要とするかを判断できるようになるというのは、ヤギにとっても農家にとってもいいことばかりですね。

通常であれば人間が長い時間と経験を必要とするスキルですが、AIの自動化が役立つ分野の一つとなりそうです。

Source:Phys.org