県選管は開票結果の誤りを巡り選管委員長のコメントを発表。事案の概要や経緯などがつづられている

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 先月27日に投開票された参院岩手選挙区の補欠選挙の開票結果で、岩手県軽米町選挙管理委員会が候補者2人の得票数を入れ違えて岩手県県選管に報告するミスがあった。

 選管は誤った得票数を含む、全自治体の開票結果を国や報道機関に公表し、その後に訂正。同様のケースは県内の国政選や知事選で過去に例がないという。同日の衆院選でもミスが相次ぎ、県選管は今後、各自治体の選管と定期的な会議を開催するなど再発防止を図る考えだ。

「今回の事案は、あってはならない。対応を一から検証し、誤りを未然に防止できる体制を構築する」。県選管は投開票翌日の28日、異例とも言える選管委員長のコメントを出した。

 県選管によると、軽米町選管は27日夜、当選した候補者と次点だった候補者の得票数について、それぞれ「2065」「918」とすべきところを逆に取り違え、確定値として県選管へメールで報告した。

 県選管は、翌28日午前2時50分頃に全自治体の開票結果を発表。読売新聞が、町の開票所で配布された資料と県選管の資料の得票数が違うことを県選管に問い合わせ、齟齬(そご)が判明した。

 県選管は町選管に問い合わせたが、町選管職員は県選管から待機解除の連絡を受けて退庁していた。県選管が同日朝に町選管に確認したところ、町の開票所で配布された資料が正しいことがわかり、県選管は正午前に訂正を出した。

 町選管によると、当時は職員2人態勢で、町が独自に用意した「得票計算表」を使い、得票数を県報告用のエクセルのシートに入力。県報告用シートは候補者名が届け出順に記載されているが、町の計算表は並びが異なっていたため、ミスを誘発した可能性があるという。県選管は事前に「複数人でのチェック」を求めており、町選管もパソコンの画面を2人1組で確認したがミスに気付けなかったという。

 また、衆院選では大槌町選管が27日、岩手2区の候補者の得票数「3065」を誤って「3063」と県選管に報告した。県選管への報告の直前に無効票から有効票となった2票分を追記しなかったという。

 本紙の調べではこのほか、遠野、釜石、二戸、住田の4市町が衆院選と参院補選の投票結果(有権者数、投票者数など)を県選管に報告する際に誤った数値を伝えた。県選管が全市町村の投票結果の確定値を国や報道機関に公表する前だったため修正が間に合った。

 県選管の高木悠副書記長は「これまでは性善説に立って、市町村からの報告数値を正しいものとして国や報道機関に公表していた。今回の事案はその前提を大きく揺るがすものだ」と危機感を強めている。

参院補選の無効票、4万7904票

 岩手県選管は参院補選の無効票が4万7904票だったと発表した。近年の国政選挙では、県内の無効票は2%前後。無効票数は投票総数の8・62%にあたり、1950年の第2回参院選の10・28%に次いで高かった。

 無効票が多かったのは、田野畑村17・49%、山田町15・52%、九戸村13・70%など。比率の高い地域は、衆院選の小選挙区や比例でそれぞれ自民党候補や自民党に投票した比率の高い自治体が多かった。参院補選では、自民が候補者の擁立を断念。投票先がないと判断した有権者が、無効票を投じたとみられる。