ロサンゼルスにある大谷選手の本拠地ドジャースタジアム(旅人 / PIXTA)

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ワールドシリーズの優勝を果たした米大リーグ・大谷翔平選手。名実ともに世界一の選手となった大谷選手だが、今年9月、本拠地ドジャースタジアムで販売されたグッズにはファンも驚かされた。

その名も「SHOHEI OHTANI GAME USED DIRT」(大谷が立った打席の土)だ。

これまでも大リーグでは「GAME USED DIRT」を販売した例があるが、日本円で3000円程度だった。しかし「SHOHEI OHTANI GAME USED DIRT」は、本拠地開幕戦の土が99ドル(約1万4360円)、日本選手最多を更新するメジャー通算176号本塁打を放った際の土は149ドル(約2万1500円)。わずかな土に2万円越えはプレミア価格といっていいだろう。販売後すぐに売り切れとなったことも合わせ“別格”の人気を見せつけた。

ところが、この土のグッズ、日本に住む人には思わぬ“落とし穴”が。農林水産省もXで、誤って購入してしまわないよう「ご注意ください」と注意喚起を行っている。

「大谷が立った打席の土」日本に住む人は買えない?

〈「うっかり」が「がっかり」にならないために

意外なことに「土」は病害虫の温床です。
「野球場の土」の記念品が話題ですが、土はどのような形でも、法律で輸入が禁止されています。
日本に持ち込めませんので、お土産を買う時にはご注意ください。

#ドジャース #パドレス どっちも頑張れ!〉(10月8日 農林水産省公式Xアカウント(@MAFF_JAPAN)投稿より)

病害虫の侵入・まん延防止に取り組む植物防疫所(農林水産省所管)によれば、投稿の通り、「土の中には、農作物に寄生して被害を与えるセンチュウのような害虫や病菌などの病害虫が多数存在しています」という。

「海外から土が持ち込まれてしまうと、土と一緒に日本未発生の病害虫が侵入し、思いもよらぬ農作物被害が発生する可能性があります。そのため、日本を含む多くの国において、土の輸入を禁止しています」(植物防疫所)

今回ドジャースタジアムが発売した「大谷が立った打席の土」は容器に封入されていたようだが、たとえ“密閉”されていても、土を海外から持ち込み・輸入することはできないという。

「土が付いたユニフォーム」も“没収”

ちなみに大谷選手のグッズでは、これまでも「土付きユニフォーム」がオークションにかけられたことがあるが、植物防疫所は「ユニフォームであっても、土が付着していると認められる場合は、土が付着した状態のまま、日本に持ち込み・輸入はできません」と説明。

その上で、万が一、日本に住む人が現地やインターネット経由で「野球場の土」や「土付きユニフォーム」などを購入した場合については、空港や国際郵便局で“没収”されるとする。

「土のような植物検疫の対象になる物については、輸入した空港・海港にある植物防疫所や国際郵便局において、植物防疫官から検査を受ける必要があります。

土であることが確認されれば、土は植物防疫法で輸入が禁止されていますので、植物防疫法に基づき植物防疫官が廃棄します。その際は、植物防疫所から直接または通関代理店を通じて注文者(輸入者)に通知します」(植物防疫所)

「鉢植えの植物」にも注意…違法な持ち込みには罰則も

植物防疫所によれば、日本に持ち込まれやすい土は、「鉢植えの植物」「土付き野菜(薬用ニンジン)」だといい、「植物に付着する土は、よく洗い落としてから日本へ持ち込むようにお願いします」(同)として、土の取り扱いに改めて理解を求めた。

ちなみに故意に土などの違法な持ち込みを行った者には、3年以下の懲役または300万円以下(法人の場合は5000万円以下)の罰金が科せられる場合もある。

日本に住むファンは、大谷選手を育てた日本の“土”を守るためにも、打席の土や土付きユニフォームの購入については控えるしかなさそうだ。