阪神・佐藤輝 9発中7発が中堅から逆方向 小谷野塾で広角打法進化 「打球速度170キロを常に超える」
「阪神秋季キャンプ」(5日、安芸)
阪神・佐藤輝明内野手(25)が5日、高知・安芸で行われた秋季キャンプのランチ特打で右翼ネットを越える場外弾を放つなど、全方向にアーチをかけた。新任の小谷野1軍打撃チーフコーチとスイングの最大出力強化に励む中、「打球速度常時170キロ」を目標に掲げた若き主砲。広角打法に磨きをかけて、5年目の飛躍を遂げる。
鋭く振り抜かれたバットから火を噴くような打球が次々に飛び出した。下半身から両腕と伝わってきたパワーが集約されたとき、とてつもない破壊力を生む。すさまじい打撃でスタンドにどよめきと拍手を起こした佐藤輝。新たな可能性を存分に感じさせた。
「打球速度は170(キロ)は常に超えるようにバッティング練習ではしています。全力で振るからいいってわけじゃないですけど、しっかりボールに力を伝えていい打球を飛ばしたい」
メイングラウンドで中野と2人きりで行ったランチ特打。圧巻の打球で高知の虎党を魅了した。まずは左翼へ低い弾道で柵越え。次は右翼にある高さ14メートルの通称「大豊ネット」を飛び越えた。バックスクリーンにも直撃させるなど、52スイングで柵越えは9本。そのうち中堅方向に4本、左方向に3本と計7本を中堅から左へ運んだ。
短期集中型で行われている打撃練習。例年の特打では1人が約40分間打ち続けているが、今回は2人で5球ずつを交互に打つ方式だ。新任の小谷野1軍打撃チーフコーチは「目的が『出力を上げよう』ってみんなに言ってやっているわけだから。数少ない中でちゃんと振り切って、自分の力を発揮してくれたから、結果にも表れたと思う」と導入の意図を説明し、手応えを感じている。
4年目となった今季は打率・268こそキャリアハイとなったが、120試合の出場は自己最少。16本塁打、70打点ともに昨年を下回る成績だった。また、安打の打球方向は右方向が49・6%、中堅方向が28・1%、左方向が22・3%(データは共同通信デジタル)。「しっかりセンター方向にっていうのは意識しています」とより広角に打ち分ける打撃を身につければ、おのずと各部門の成績も上がってくる。
この日の打撃練習後には走塁練習も遂行。筒井外野守備兼走塁チーフコーチと帰塁、スライディングなどを再確認した。今季は盗塁0に終わったが、「もっと走れるようにというか、サインを出してもらえるようにしっかり準備したい」と盗塁にも意欲を示す。
5年目となる来季。チームをけん引する立場として期待される藤川監督から求められるのは進化だ。鍛錬の日々を過ごし、必ずV奪還への力になってみせる。
【甲子園での自己最速】佐藤輝が9月15日・ヤクルト戦(甲子園)で高梨から放った右越え14号ソロは打球速度178キロを計測。これは自身が甲子園で放った本塁打の中で最速となっている。NPB打者の平均打球速度は140キロ〜150キロと言われている。ちなみにドジャース・大谷の今季打球速度の最速は119.2マイル(約191.8キロ)だった。