涙の残留訴えは響くか ド軍T・ヘルナンデスのFA退団予測に集まるシビアな声「他チームと契約ならドラフト指名権を手にできる」
優勝セレモニーで涙ながらにドジャースとの契約延長を訴えたT・ヘルナンデス。(C)Getty Images
「前にも言ったがドジャースが(契約の)最優先だ。来年またこのチームでプレーするために全力を尽くす。ここにはたくさんの良い思い出がある。選手として、人として、たくさんのことを学んだ。その一員になれてとてもうれしい」
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そう涙ながらに語ったのは、今オフにドジャースをFAとなるテオスカー・ヘルナンデスだ。ワールドシリーズ制覇を祝すセレモニーの場で32歳のスラッガーはエモーショナルな想いを語った。
レギュラーシーズンにキャリアハイとなる33本塁打を放ったT・ヘルナンデスは、優勝を決めたヤンキースとのワールドシリーズ第5戦の5回に値千金の同点打を放つなど、シーズンを通して勝負強さを発揮。また、大谷翔平が本塁打を放った際に、ベンチ前でひまわりの種のシャワーを浴びせていた彼の存在は日本でも人気を博した。
だが、ビジネスの世界はシビアだ。本人が再契約を望もうと叶わないケースはある。
昨オフにFAでマリナーズから1年契約の2350万ドル(約36億円)でドジャースに移籍したT・ヘルナンデス。今季は打率.272、33本塁打、99打点、OPS.840のハイアベレージを叩き出し、大型契約を求めるだけの実績は作った。
一方でドジャースにもさまざまな事情がある。今オフにヤンキースからFAとなるフアン・ソト獲得のためにポジションを空けることを念頭に置いた上で、トッププロスペクトのアンディ・パヘスの出場機会増を図ると見られている。
また、今季終盤にやりくりに苦心した投手陣のテコ入れも急務の状況。ゆえに来年に33歳となるT・ヘルナンデスに大きな資金を投じられるかが不透明ではある。
現地メディアも、T・ヘルナンデスとドジャースの契約延長交渉が円滑に進むとは見ていない。メジャーリーグのありとあらゆる移籍情報を発信している『MLB Trade Rumors』は「ドジャースが再契約をすれば、チームはレフトの問題を一気に解消できる」としながらも、次のように論じている。
「T・ヘルナンデスは9シーズンで最高の年を終え、プレーオフでの大きなパフォーマンスでさらに価値を高めた。裏を返せば、彼は(より好条件で再契約するため)クオリファイング・オファーを拒否するのは確実。そして仮に他チームと契約した場合、ドジャースは(FA補償の)ドラフト指名権を手にすることになる。
もしチームが別の外野手(フアン・ソトのようなビッグネーム)の獲得のためにポジションを空けておきたいのであれば、このタイミングでT・ヘルナンデスを手放し、1年契約が成功だったとみなすだろう」
今オフは、複数年契約の締結が見込まれるT・ヘルナンデス。おそらくドジャース・ファンは彼との再契約を望むが、球団がどのような決断を下すかは大いに注目だ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]